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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/07/28 23:42:10

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「おはようございます。」

仕事に向かおうとして玄関のドアを開けると、すでに富樫がいた。

「…なぜここに?」

「お車を持ってまいりました。」

確かに、俺の車がガレージに。

「…おまえは?」

「今から、さくらさんと先代の所にまいります。」

「さくらさん?」

「はい。もうじき頭が到着されます。」

ん?

親父と?

意味はよく分からなかったが、とりあえずガレージに向かおうとすると。

「ボスは今日はお休みですよ。」

富樫が声をかけた。

「え?何言ってる。俺は」

「海さん、おはよう。」

声を掛けられて振り向くと、俺の真後ろにさくらさんがいた。

「…おはようございます。」

その見事な気配のなさに…富樫までもが首をすくめた。


「海さん、ちょっと働き過ぎ。リハビリがいるわねって話になったから、華音たちのオフが終わるまで、あなたもオフね。」

さくらさんは何でもない事のようにそう言って、俺の背中をポンポンと叩いた。

「……って、えっ?」

待て。

待ってくれ。

ハナオトと沙都のオフって、あと何日あるんだ?

って言うか…

どうしてあいつらのオフに俺まで?

「仕事があります。」

「大丈夫ですよ、ボス。志麻も来ましたから。」

「いや、そういう問題じゃなくて。」

「少しはお休みください。」

「先週二日休んだ。」

「海さんのリハビリに二日は少なすぎるわねー。はい、家入って着替えて、あの子達と朝食とってね。」

庭で押し問答していたが、さくらさんはそう言いながら俺の腕を掴んで。

「さっさと戻る。」

関節を軽く押されただけなのに…

「え…っ。」

くにゃっ。と…

俺の体から、力が抜けた。

その様子を、富樫が目を丸くして見ている。

「ほら。力入り過ぎ。いい仕事がしたかったら、ちゃんとオフのスイッチも作る事。じゃあね~。」

そう言いながら、さくらさんは富樫の隣に行って。

「来た。」

さくらさんの指差した方を見ると…二階堂の車。

「早いですね。」

親父が、窓を開けて言った。

「年取ると長く眠れないのよね。」

「まだまだお若いじゃないですか。」

そんな会話をしながら、親父が富樫と運転を代わり。

さくらさんは、後部座席に乗り込んだ。

「ああ、海。しばらく休め。」

親父が思い出したように、立ち尽くした俺に言う。

「いや、休めって言われても。」

「いいから。楽しめ。」

「楽しめ?」

「こう見えて、富樫だって大学では随分…」

「か、頭、何を」

「えー富樫さんて遊び人だったの?意外ー。」

「違いますよ!!私は全然…その…」

「ほら。おまえもこれぐらい遊べ。」

車の中では、富樫が目を白黒させていたが…

「じゃあねー。」

さくらさんの声と共に、車は発進した。

「……」

楽しめって…

この状況に頭を悩ましていると。

「…何やってんだ?」

眠そうな顔をしたハナオトが玄関から出て来て。

「朝飯。」

短く、俺にそう言った。



とりあえず…

スーツを脱いで、着替えた。

テーブルにつくと、沙都はまだ時差ボケの痛手から立ち直っていない様子だった。

「いただきます。」

ハナオトが低い声でそう言って、箸を手にした。

…夕べは沙都が作った洋食だったが、今朝は和食。

さくらさんが作ってくれたのか?


「…いただきます。」

俺もハナオトのように手をあわせて、箸を持った。

和食は…久しぶりだ。

「ん、美味い。」

味噌汁を一口飲んで、つい言ってしまうと。

「だろ。ばーちゃんの味噌汁は世界一美味いからな。」

ハナオトが…

まるで自分が褒められたかのように、少し嬉しそうな顔をして言った。

…沙都に言われたからじゃない。

二人でバーで飲んだ時から、ハナオトの事はいい奴だと思っていた。

だが…

紅美と別れて。

終わらせて。

紅美は…きっとハナオトのものになる。

そう思っている時に…一緒に過ごさなくてはならないっていうのは…

正直、キツイ。


「沙都、落ちるぞ。」

座ったまま眠ってる沙都の袖を引っ張って。

「ったく…何回こっち来てんだよ。いい加減時差ボケとか慣れろっつーの。」

ぼやきながらも…ハナオトは沙都の世話を焼く。

結局、沙都はソファーに寝かされて。

俺とハナオトだけの、静かな朝食となった。


「…あんた、休みの日って何してんだ。」

ふいにハナオトに聞かれた。

「え?休みの日…寝てるか、資料読んでるか。」

「つ…つまんねー休みだな。」

ムッ。

「そういうおまえは何してる?」

俺の問いかけに、ハナオトは。

「そーだなー。曲が作りたければそうする事もあるけど、極力オフは違う事してるね。」

俺の目を見て言った。

「…違う事?」

「音楽じゃない事。美術館行ったり映画行ったり、出掛けるのがめんどくさい時は、ごろごろしながら漫画読んだり。」

「……」

美術館は…捜査で入る事が多い場所でもある。

個人的に絵画を観に行ったのは…

こっそり行った、早乙女園の個展…ぐらいか。

映画も…最後に行ったのは…

かなり昔、朝子とのドライビングシアター。

…何の映画だったかも思い出せない。

漫画も読まないし…

何より…

「ごろごろしながら」のやり方が分からない。


「…沙都もあんな調子だし、今日はお宝映像でも見るか。」

ハナオトはそう言って。

きれいに食べた食器を前に、手を合わせた。

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10分後にもう一つ。

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