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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/07/28 20:44:45

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「……」

その時、俺は庭で…

何そいつ連れて来てんだよ。

クソばばあ。

と思って。

いや…クソばばあは言い過ぎた。

ばーちゃんごめん。

心の中で、勝手に怒って勝手に謝っていた。


なんで。

いきなり引っ越そうって…それだけでも疲れたのに。

本家様を連れて来て。

シェアしよう。って、嘘だろおい。

あと八ヶ月あるんだぜ?


引っ越しはうんざりだったけど、物件はかなり気に入った。

あの丹野廉と浅井晋が暮らしてた家。

…なぜか、ばーちゃんも…。

かなり古い建物らしいが、内装もリフォームされてるし、バスルームやトイレもきれいだった。

一年半の予定だから、荷物も少ない。

事務所から支給された家電や家具は、余裕で引っ越せた。


晩飯の後…本家様は現場があるとかで仕事に出かけ。

沙都は時差ボケで苦しむのが嫌だから、無理矢理寝る。と、眠くもなさそうなのに早々に部屋に入った。



「ここでね、三人でDeep Redのビデオ見て、チキンを食べたのよ。」

二人きりになったリビングで、ばーちゃんはそう言って笑った。

その思い出は…あったかかった。

ばーちゃんから昔話を聞くのは初めてで。

本当は、その場所に俺だけじゃなくて、沙都と…なぜか本家様まで住まわせるのは若干ヤキモチだったが。

…ばーちゃんが、そうしたいと思ったのなら、それはそれでいい。


「華音、勝手に決めてごめんね。」

ばーちゃんの持って来たビールを開けた。

「まったく…好き勝手してくれるな。」

俺が文句を言うと、ばーちゃんは。

「あのね…華音。」

少しだけ伏し目がちになって言った。

「私…実は二階堂の人間だったの。」

「……」

それについては…

そう言われても不思議ではなかった。

思い当たる節はいくつもあったし。

「…そっか。で?」

「驚かないの?」

「まあ…納得の範囲内かな。」

「ふふっ…華音以外の人だったら、卒倒しちゃいそうだけど。」

「誰も知らないのか?」

「…こっちに来て、記憶が戻ったから。」

それはさすがに…少し驚いた。

記憶が曖昧だとは言ってたが…

戻ったんだ?


「私、海さんに変えて欲しいと思ってるの。」

ばーちゃんは、真剣な目と声で言った。

「変えるって…何を。」

「二階堂の在り方。秘密組織なんて…本当はあっちゃいけないのよ。」

「……」

「二階堂の人間は、みんなそういう生き方しかして来なかった。だから…私みたいに外の世界を知る人間は少ないわ。」

「…外の世界?」

「私のボスだった、海さんのおじいさんは…歌すら知らなかった。」

それは…本当に別世界の話のようだった。

二階堂は特別な組織。

それは…知っている。

何となく、ボンヤリと…だけ。

いつ何が起きるか分からない世界。

いつ命を落としてもおかしくない世界。

確か咲華も…

「気を付けてね。あたしが待ってる事、忘れないでね。」

現場に行く志麻に…そう言ってたのを聞いた事がある。

何言ってんだ。と思って聞いてたが…

そういう事だよな。

忘れないでね。

その言葉で志麻は仕事に集中する。

生きて帰るために。


「…で?それで何で俺らが一緒に?」

ビールを飲みながら問いかけると。

「三人集まると、いい化学反応が起きちゃいそうと思って。」

ばーちゃんは、楽しそうに舌を出して。

俺に深い溜息をつかせた。

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