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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/07/28 10:40:53

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ベッドで話してる最中に。

紅美が、じいさんに会いたいと言い始めた。

うちのじいさんもまた…若い頃に一般人を死なせてしまった事をずっと悔いていて…

悔いたまま、現場に出続け…

当たり前の事だが、気の張り続けた日々を送り。

引退した今…穏やかでいて欲しかったが…

突然、記憶障害が出始めた。

付き添っているばあさんはともかく…

誰の事も、分からない。

日本に居たのはほんの数年。

アメリカでの生活が長かった祖父母は、そのままこっちの施設に残る事を選んだ。


俺自身、久しぶりに訪問をしたが…

そこには思いがけない客がいた。


ベッドに座って、部屋から出ていたじいさんが戻って来たのを見ていると、車椅子を押していたのは…

「…ばあちゃん?なんでここに?」

紅美が驚いた顔をした。

…ばあちゃん?

「…桐生院の…?」

俺はベッドから立ち上がると。

「二階堂海です。」

その女性に頭を下げた。

…ハナオトの、おばあさん?

って…いくつだ?

すごく…その…

『おばあさん』と呼ぶのが申し訳ないぐらい…

若い。


「まあ、立派になられて…。」

「え…?お会いした事が?」

「麗の結婚式で。あ、でも海さんはまだ8歳だったかしら。」

…年齢まで覚えてる?

話の流れで、それがすぐに出てくるなんて。

…すごく興味深い。


「そうでしたか。失礼しました。きっとお変わりないはずなのに、分かりませんでした。」

8歳なら、もう記憶には残っているはず。

だけど全く覚えがない…

「…ふふっ…」

おばあさんは…何かを思い出したのか、俺を見て小さく笑った。

その様子に、俺と紅美が顔を見合わせると。

「ああ、ごめんなさい。分からなくて当たり前ですよ。私はお話しなかったので。」

「…そうですか。あの結婚式の日は、とても晴れていて…叔父夫婦がとても幸せそうだった事はハッキリ覚えています。」

俺の言葉に、おばあさんは優しく微笑まれた。

そして…

「昨日は華音とデートしたのよ?」

おばあさんは、紅美にそう言った。

「何であたしには連絡くれなかったの?」

「デートなら、男の子としたいじゃない?」

「よく言うわよ…ここには一人で来たの?」

「ええ。陸さんに場所を聞いて。」

「……」


ハナオトの昨日のデート相手は…

おばあさんだったのか。

それを知って、なぜか…俺はホッとした。

ハナオトには…紅美だけを好きでいて欲しい。

そうとでも思っているのだろうか。


「…さくら。」

突然、じいさんが…おばあさんに呼びかけた。

久しぶりに声を聞いた気がしたが…

それが呼び捨てなのが気になった。

「そうか…さくら…良かったな…」

じいさんは、そう繰り返して。

そばに立っている、ばあさんを見上げて。

「…アッチョンブリケ。」

と言った。

それに対してばあさんは。

「まあ。」

と…パアッと笑顔になった。

「ふふっ。」

おばあさんは…首を傾げて笑いながら。

二人の顔を見つめてる。


アッチョンブリケ…

ハナオトと、暗号を使ってスパイごっこをしていた人物。

「…なるほどな…だからか…」

つい…口に出してしまって。

「…何?何がだからなの?」

さっきから眉間にしわを寄せている紅美が、俺に問い詰める。

「内緒。」

「なんでよ。」

…そうか。

この人は…

二階堂の人だったのか…。

だが、あの年代の二階堂から抜けるには…相当な理由が必要だったと思う。

どういう運命をたどって、桐生院に嫁がれたのか…

何となく、それを知りたいと思ったが…

今、こうしてみんなが笑っているのなら。


それは…とても幸せな事だと思った。

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