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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/07/27 20:47:44

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「ばーちゃん。」

俺が手を上げると。

「あっ‼︎かのーん‼︎」

俺を見付けたばーちゃんは、嬉しそうに手を振りながら走って来た。

…走らなくていいっつーの。


「嬉しいわ。まさかアメリカで華音とデートできるなんて。」

ばーちゃんは、いくつだよ…って言いたくなるような、可愛い笑顔で言った。

「俺だってビックリした。なんでアメリカいんだよ。」

「ちょっと、色々ね。思い出めぐりって感じ?」

「思い出めぐり?」

「昔々のね。」


夕べ…思いがけず、本家様とバーで酒を飲んだ。

帰った頃、紅美の部屋からは、本家のお嬢さんと紅美の大声が聞こえてて。

あんなにふらっふらだったクセに、紅美はまた飲んでんのか…って思いながら部屋に入った。

まあ…飲まずにはいられないか。


でも…意外と嫌な奴じゃなかった。

本家様。

それに…

さっきアパートの外で会った時…

本家様は、紅美のためなら二階堂を捨ててもいいと言った。

あの時できなかった決断が、今なら出来る、と。

そして…紅美に決めさせる、と。

…連れて逃げたい気持ちが本心だろうに。

ま、できねーよな。

自分が何かを捨てられるとしても…

紅美に何かを捨てさせるなんて、できやしない。


「ばーちゃん、腹減ってないか?」

「実はペコペコ。」

「じゃ、何か食いに行こうぜ。」

「どんなご馳走かしら。」


今朝、ばーちゃんから電話があった。

『華音?今日何してる?相手してくれない?』

…電話の相手かと思った。

まさか、こっちに来てるなんて。


「カプリって美味い店があるけど。」

俺が提案すると。

「カプリ…」

ばーちゃんは少し首を傾げた。

「知ってんの?」

「あそこでしょ?前に華音たちがライヴした、カニの美味しいお店。」

「あ、そうそう…」

…って。

俺、カニが美味いなんて言ったっけか?

「じゃ、腕をどうぞ。」

「まあ。こんなおばあちゃんと腕を組んでくれるなんて。可愛い子。」

「転んじゃいけないからなー。」

「一言余計ね。」


ばーちゃんと腕を組んで、カプリに向かった。

いつ来ても、ここは雰囲気のいい店だ。

紅美もよく沙都とランチに来てるらしい。


「ばーちゃん、何食う?」

メニューを見ながら問いかけると…

「…シェリー…?」

その声に、ばーちゃんと一緒に顔を上げる。

シェリー?

「やっぱり!!シェリー!!元気だったのか!?」

白人の…いくつぐらいだろう…

80ぐらいか?

くしゃくしゃな笑顔のその老人は、ばーちゃんの手を握って、何度も顔を見て。

「全然変わってない!!まるで奇跡だ!!」

興奮した様子でそう言った。

「え…ええと…ごめんなさい…あなたは…?」

その興奮した老人とは裏腹に…

ばーちゃんは、少し困惑気味。

「あ…申し訳ない。そうか…分からないよなあ…こんなに老いぼれてしまっちゃ…」

「いえ、あの…」

ばーちゃんは少しだけ…俺を気にしながら。

「実は…少し記憶が曖昧な時期があって…」

小さくつぶやいた。

「…え?」

「だから、ごめんなさい。でも…シェリーって呼ばれるのは、懐かしい気がしました。」

「……」

老人は優しい目でばーちゃんを見て。

「その先のガソリンスタンドで働いてた、マークだ。」

自己紹介をした。

「マーク…」

「君がいつもここで歌ってるのを、聴きに来てた。」

その言葉に、俺は口を開けた。

「う…歌ってた?ここで?ばーちゃんが?」

老人は俺を見て。

「…彼は?」

ばーちゃんに言った。

「あ…孫なんです。」

「孫!?え…じゃあ…」

「……」

「……」

ばーちゃんが黙ってしまって。

老人も黙った。


ばーちゃんは…とても不思議な人で。

いつも俺に刺激を与えてくれる人だ。

そして…

謎も多い人。


記憶が曖昧な時期がある。

それは…何となく分からなくもなかった。

急に、ふっ…と、何で自分はこんな事を話してるんだろう?って顔をする時がある。

誰から聞いた話なんだろう?と。

そっか…。

だからばーちゃん…


「…華音。」

ばーちゃんが、立ち上がった。

「ばーちゃん?」

「ちょっと…歌を…」

「は?」

「歌ってくるわ。」

「え?…って、おい、ばーちゃん。」

まるでばーちゃんは。

カプリの中を知り尽くしているかのように…

スタスタとスタッフルームへと入り込んで…

俺が、残されたマーク老人と呆気に取られてると…


『こんにちは。たぶん、はじめましての方が多いね。』

ばーちゃんは…

アコギを持って、ステージに出て来た。

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アメブロ、数日の間20時に更新します!
今日のは懐かしいあの子達。

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