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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/07/27 16:26:39

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ビー。

ブザーが鳴った。

紅美を追い返したばかりで…気分が良くない。

誰とも会いたくなかったが…

「…誰だ。」

ドアの前で問いかけると。

『俺だ。』

聞き覚えのある声。

「…部屋間違えてないか。」

あえてそう言うと。

『紅美のイトコだ。』

「……名前を言え。」

『桐生院華音。』

「……」

今、俺が…

一番脅威に思っている男かもしれない。


昔から、その存在は知っていた。

陸兄の妻の甥。


『無駄に何でも出来る男』


少し間を置いて、ドアを開けた。

目が合った瞬間…

「!!」

手が伸びて来た。

泣いて帰った紅美を見て激昂して、俺を殴りに来たのか?

咄嗟に受け身を取ったものの…

パチン。

「な…」

最後は…軽く額を叩かれただけだった。

「どうだ。屈辱だろう。素人に額を叩かれるってのは。」

『無駄に何でも出来て、少し変わり者』

これは…

こいつの双子である桐生院咲華の婚約者、うちで働いている東志麻が言った事だ。

ま、志麻はもっと柔らかく丁寧な言葉を使ったが…

俺の偏見で、こんな言い方になっている。


「どうぞ。」

大きくドアを開けた。


「あんた、なんで紅美にあそこまで冷たくする?」

確か、俺より四つ下。

面と向かって喋るのは初めてのはずだが、このタメ口。

まあ…紅美の事が絡むと冷静でいられなくなるのかもしれないが…

気に入らない。

洒落た名前だが、わざと心の中ではハナオトと呼ぶ事にした。


「駅で大泣きしてたぜ。意識朦朧としながら、俺の中から消えてくれって言われたっつって、繰り返し言ってた。」

「…あいつの事を思ったら、それが最善だ。」

「はあ?」

ハナオトは、ずい。と俺に近寄ると。

「あんた、バカか。」

胸を突いた。

「……」

…俺にここまで言う奴は…

今まで居なかった。

正直…少し気持ち良くなっている自分がいる。

「あんたが冷たくするたびに、あいつはあんたを嫌いになるどころか…あんたの事しか考えられなくなってんだよ。」

「……」

「なんで、ちゃんと会って、想いのままに優しくしてやんねーんだよ。」

「…俺達には先がない。」

「先がないならなおさら、笑って別れられる状況を作れよ。」

「…やったさ。」

俺はハナオトから離れて椅子に座ると。

「愛してた…って、言い合って終わったはずだった。だけど…結局紅美は引きずりまくってて…」

吐き捨てるように言った。

「…言い合って終わっただ?はっ…言い合ったんじゃなくて、言わせたんじゃねーか?」

「……」

「紅美に、そうとしか言えない状況だっただろ。」

「……」

「今、幸いなことに、あんたはフリーなんだろ。」

「…だからって、何も変わらない。」

「それは、あんた次第だろ。」

「……」

「紅美を、抱きしめたくないのか?」

…抱きしめたくない…わけがない。

終わった。

終わらせた。

それに…俺には守るものがある。

ずっと言い聞かせながら…

だけど、結局俺には何も守れなかった…。


「俺から見たら、紅美もだが…あんたも相当引きずってるけどな。」

「……」

「会えよ。会って、ちゃんと終わらせろよ。」

こいつ…

まるで俺と紅美のそれぞれの様子を見ていたかのように…物を言う。

もし、こいつが俺達の色々を知ってるとしても…

俺の心情まで…見透かしてるっていうのか?


「…君は、俺と紅美の事を妬いてたんじゃないのか?」

気になってた核心を突くと。

「は?何言ってんだ?」

ハナオトは眉間にしわを寄せた。

「紅美の事、好きなんだろ?」

「紅美は好きだが、俺はあんたの態度が気に入らなかっただけだ。」

「…え?」

「惚れてる女が弱ってる時に、何だ?あの態度。」

「……」

「俺なら絶対、あんたには惚れないね。」

「……ふっ…」

つい、小さく笑った。

何だろうな…こいつ。

憎たらしいと思うのに、憎めない。

気に入らないと思ってたのに…

今は少し好きだ。


「何だよ。」

「いや…ありがとう。」

俺がそう言うと、ハナオトは首をすくめて。

「なんだ。あんた、意外にまともなんだな。」

本気で言ってるのかどうか分からない口調で言った。

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