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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/07/26 18:02:07

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ハイウェイをとばして、街に戻った。

それから…少し郊外に走ると…

そこに、白くて大きな建物が見えた。


「ここって…」

「二階堂で働いてた者が入ってるんだ。」

「……」

「戦場さながらの現場ばかりだからな…PTSDに悩まされる者も多い。」

施設内には、若い人も多く見えて…

あたしは、あらためて…二階堂の仕事の重大さに身震いした。


「あれ…誰もいないな。」

部屋に行くと、そこはもぬけの殻。

「おばあちゃんもここに居るの?」

「ああ。ばあさんは付き添いだけどな。散歩にでも出てるのかな…」

海くんは窓の外を眺めて。

「ちょっと見てくる。」

部屋を出た。

そこへ、海くんと入れ違いで…

「…どちらさま?」

すごくきれいな声で問いかけられた。

振り向くと…

「…おばあちゃん?」

きれいな銀髪。

細い体。

手には…ガーベラ。

「…ええと…あなたは…」

おばあちゃんは、目を細めてあたしをじっくりと見て…

「…紅美?」

「わ…正解。なんで分かったの?」

あたしなんて、顔を見ても分からない。

なのに…何で??

「陸が、こっちにくるたびに写真を持って来てくれるのよ?」

おばあちゃんは花瓶にガーベラを挿し込みながら、あたしに椅子を出してくれた。

「あ、ありがと…父さんが?」

「ええ。麗さんも、近況を手紙でくれたり…写真を送ってくれたり…この春は、二度来てくれたかしらね。」

…あたしの所に来た時!?

母さん!!

なんで教えてくれないの!!


「あら、海。」

「あ、いた。」

海くんが戻って来て。

おばあちゃんを見てそう言ったけど。

「じいさんは?」

「今、ちょっとお客さんがね。」

「客?じいさんに?」

「ええ。」

「…分かるのか?」

「それが…分かったのよ。」

「へえ…」

海くんも、おばあちゃんも…笑顔。

「二人で来たの?」

「ああ。紅美が、会いたいって言うからさ。」

海くんはベッドの脇に座って、立ったままのあたしに椅子に座るように促した。

「うん。だって…小さい頃会ったきりだから。」

「そうね…織と陸を余所で育ててもらってる間はこっちにいたけど…引き取ると決めて日本に戻って…織と環が継いでくれてからは、ほとんどこっちに居たものね。」

「たぶん、学あたりは二人とも死んでるって思ってないか?」

海くんは笑いながら言ったけど。

まさにその通り…なんて思って、あたしは苦笑いするしかなかった。

だって…

あたしもそう思ってたもん…。


「…海。」

おばあちゃん、きれいだなあ…なんて見とれてると。

おばあちゃんは、優しい声で海くんを呼んだ。

「ん?」

「…今日は、いい顔をしてるわね。」

「…そっか?」

「ええ。とっても。ここのところ、ずっと厳しい顔をしてたから…安心だわ。」

「…心配かけてごめん。」

「いいのよ。」

海くんは…すごく優しい顔で、おばあちゃんに笑いかけた。

それが何だか…すごく嬉しかった。


「ああ、帰って来たかしら。」

廊下から車椅子の音がして。

おじいちゃんが戻って来た。

「あら。」

「………えっ?」

思いがけない人と、一緒に。

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コメント7

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  1. ヒカリさん(99歳)ID:6576409・07/26

    フローレンスさん
    そんな事があるんですね〜!
    きっとピアニストのようにスラリとした指が、スマホを鍵盤の如く滑ってポチポチと…(*´∀`*)

    日に何度も覗いてくださって、ありがとうございます!
    おかげさまで、夏バテ知らずです٩(ˊᗜˋ*)و

  2. ヒカリさん(99歳)ID:6576408・07/26

    コマチさん
    ここ数日はのんびり更新になる!と思ってたのですが…
    もう体内時計が?(*´∀`*)
    皆さんが大変ですよね〜!
    追い付くまでに痩せ細ってしまったのでは…

  3. ヒカリさん(99歳)ID:6576407・07/26

    カオリさん
    前回、予測コメントで炎上してしまったゆえ、分かっても内緒で('-'*)
    夜露死苦!

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