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悠の詩.58

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テーマ:小説 > その他

2017/07/25 15:56:12

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やっとの事で煎餅屋に戻れる、、、と思ったら。


「げっ」


『あらら。土浦先生の予想が当たったか』


結構な勢いで雨が降っていた。入口で呆然と立ち竦む、のは俺だけで、柏木は用意してたようで、リュックの中から折り畳み傘を取り出した。


『持ってこなかったんだ?先生言ってたのに』


「そりゃそうだろ、降水確率低かったんだから雨降るなんて思わねぇよ。

さすが、副班長様は抜かりがないですなあ」


『(笑)しらじらしい。

、、、、、、

、、、、、、』


「は、な、なんだよ」


柏木が急に無言になって、俺の胸を押して店内にまた入った。


『しいっ。土浦先生が来る』


柏木が短く答えるのを聞きながら、また押されて入口の死角になる所へ後ずさられた。

同時にコタ先生が入口に辿り着く。


『はあっ、降るなんて聞いてねぇよ~』


ハンカチで拭きながらそんな事を言うコタ先生に、傘云々は先生が言ったんじゃんって、俺と柏木は無音で吹き出した。

そこへ千晴先生も来て、


『土浦先生、生徒誰かいた?っていうか、傘持ってこなかったの?』


クスクス笑いながら、自分の傘を畳んでお店の軒先に入った。

コタ先生が顔だけ店の中に突っ込んでキョロキョロと見回したので、俺達は更に身を屈めて息を潜めた。


『いや、、、ここにはいなさそうだ』


『丸山くん達の班、柳内くんがまだ戻らないんだったよね。大丈夫かな』


『ほんとに、、、何やってんだかあいつは。もう少し向こうを探してみるか』


『うん。はい、入って』


『おう。悪いな』


再び広げられた千晴先生の傘にコタ先生が狭苦しそうに入り込んで、二人は雨の中を歩いていった。


『今の内に。ほら、入っていいよ』


先生達がこちらを見ないのを確認してから、柏木が傘を広げて俺を促した。

柏木の傘に入ろうとしながら先生達の方を見ると、


「、、、あっ」


『ナニ。

、、、、、、あっ』


コタ先生



千晴先生の手を握ってる



千晴先生がびっくりした様子で、その握られたままの手を胸元まで上げて何かをコタ先生に言ったけど、結局繋がれたままで、そのまま雨煙りの中へ消えていった。

俺と柏木はしばらく黙ったままで、そうする内に雨が止んだ。ただの通り雨だったのか。

柏木はパタンと傘を閉じて、


『見たコト、うっかり喋らないようにしなよ』


とっとと皆が待っている所へ早歩きしていった。


「言わねーよばか、オマエだって気を付けろよ」


どのクチがそれを言う?と言わんばかりの顔つきを柏木がしたのを、俺は一切スルーした。

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