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ラストマーメイド(6)

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2017/07/24 07:38:46

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何をしてもコハクがもう止まらない事は、コハクと意識を共有状態にある知花には分かりきっていた。
コハクからは、興奮と狂喜に満ち混沌とした思念が伝わる。
箍の外れたその野生的な欲望がコハクのものなのか自分のものなのか、精神が深くリンクし過ぎて、判別がつかない。
入口を探るように擦られて、知花はビクッと仰け反った。
最後の小さな抗いのように、知花が掴んだコハクの二の腕に爪が突き立つ。
瞬間、背骨を縦に裂く電流が知花の脳にまで届いた。
「んんん゛っ、痛い・・・っ!!」
突き飛ばすように唇を離して、意識のリンクは断ち切れた。
愛欲に浮かれたようなコハクの余韻が、知花の中で現実の痛みに吹き飛んでいく。
「コハク・・・痛いっ・・・」
何かに深く切りつけられた痛み。しかも、切り口をいまだに押し広げられている痛み。
「ごめん・・・知花・・・」
痛みの理由がよくわからなかった知花は、そこへ手を伸ばして初めて、コハクと繋がっている事に気付いた。
コハクはそのまま動かずに、知花を抱き締めて離さない。
「・・・痛い・・・」
離してほしいとは、不思議と思わなかった。涙が溢れるのは、ただ痛いからだけではなくて。
無事に乗り越えた安堵だろうか。コハクの望みに応える事が出来た満足感だろうか。
それだけじゃない、もっと他に、大きな理由があったはず。
「俺・・・夢中で・・・ごめん・・・」
落ち込んだ声に、知花は涙を拭いてコハクを見上げた。
コハクの二の腕から血が流れているのを見て、痛みのあまりにコハクを引っ掻いていた事に気付く。
「あたしもごめん・・・引っ掻いちゃった・・・」
「それは、俺が悪いからだし・・・」
知花の頭を撫でるコハクの手が、あたたかい。
眉を八の字にして頬を紅潮させたコハクの瞳は、微かに光が射していた。
「コハク・・・」
コハクの瞳に温度を感じて、知花は息を飲んだ。
「もう大丈夫だから・・・」
未だコハクと繋がったままの下半身は、じんじんと引き攣る痛みがある。知花の中で動きたいのを我慢しているそれは、時々微かに膨らんでは、焼けるような熱を放っていた。
「コハクは悪くないよ・・・あたしが・・・初めてなだけで・・・」
コハクの嬉しそうな顔が近付き、唇が触れた。
「んん・・・?」
知花は今、一瞬コハクが笑っていたような気がした。
幸せな気持ちに満ちているのは、コハクから流れてきたものだろうか?
それとも・・・。
知花はコハクの背に両手をまわして抱き着いた。
「あっ・・・」
我慢の限界だったのか、コハクの腰がグッと知花を突き上げた。
振動で唇が離れるたび、追うようにコハクがまた唇を重ねる。
知花一色としか言い様がないほど、コハクの頭の中には今までの知花との回想でいっぱいだった。
自分で自分の顔ばかりを見させられ知花は複雑だったが、初めてコハクと出会った時の自分の姿がハッキリとそこにある事に気付き、ハッと目を開く。
「そうだったの?」
「・・・どした?」
聞かなくても、キスをすればわかってしまう。
「なんでもない・・・」
コハクは、出会った瞬間に知花を好きになっていたのだと。
しかし、知花の記憶ではそんなそぶりなど微塵も無かった気がする。
・・・あの時も、あの時も、あの時も、すでに知花をこんなふうに見ていたなんて。
素直に嬉しい。惨禍の連続の中に、こんな小さな幸せがあった事が。
「コハク・・・ずっと一緒にいよ・・・?」
「あぁ・・・」
返事とも喘ぎともとれる、かすれたコハクの声。
コハクの動きがだんだん激しくなり、知花は漏れる声を手の甲でおさえた。
人を襲うウイルスを持ち、普通の食事も出来ない自分たちが、一体どこで生きていけるのだろう。
船から逃げても、政府と癒着した柳グループはどこへでも追って来る。ずっと一緒になんて、いられるわけがなかった。
でも、だけど、コハクのそばにいたい。
「好き・・・コハク・・・」
はっと息を吐いて、コハクは知花を抱き寄せた。
何度も名前を叫ぶような震えが、知花に伝わった。
肩で息をして固く抱き締めあう二人は、呼吸が平静に戻るまでしばらく無言でそのままだった。

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