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☆シオ短編集☆【悠の詩】執筆再開。変わらずノロノロですみません(>_<)

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悠の詩.56

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テーマ:小説 > その他

2017/07/24 22:01:56

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『あれっ、柳内くん』


店内に入って俺が声を掛けるより先に由野が気付いて、そして何故か辺りをキョロキョロして声を潜める。


『どうしたの?もしかしてひとり?』


「おー。うちの班、今自由行動でさ。つっても、10分かそこらしかだけど。

、、、何でそんな小声?」


『ほら、もうすぐゴールの集合時間でしょ。

他の先生達は知らないけど、土浦先生と千晴先生がK町通りの見回りしてて、まだゴールに向かってない生徒達を促してる。

うちの班も柳内くん達と同じでそれぞれお土産見ててね、、、』


由野がそこまで言うと店頭から、


『あっいた琴葉ちゃん!お土産買い終えた?

今土浦先生がこっちの方に来てる、まだ少し距離あるけど、、、今の内に班で固まってないと』


由野と同じ班の女子が呼び掛けた。

『うん』と返事をしたものの由野はそこから動かなくて、両手に持っている物にチラチラと視線を移していた。

ふたつの髪飾り。ビーズで赤い木の実や葉をあしらったヘアクリップと、桜の花を連ねた和風のバレッタ。


「買う?ソレ」


『え、うん。どっちも素敵で。迷うなぁ』


「なんで。両方買っちまえば」


『無理、、、けっこういい値段するんだよ。そんなにお金持ってきてなくて、、、ギリギリひとつ買えるかなんだ』


「まじかー」


『もう時間もないし、、、今回は諦めようかな』


溜め息をつきながら由野が両方の品を棚に戻そうとするのを、俺は咄嗟に、片方を止めた。


「え、、、柳内くん?」


『由野、どっちも買わないのはナシだろ。

こっちにしとけ。こっちのがお前らしい気がする』


止めた方のそれを、由野の左耳の上に宛てる。

キラキラと控えめに光るビーズのクリップ、決め手は葉っぱ。由野琴葉だから、って随分安易だけど。

由野は一時大きい瞳で俺を見たけど、『琴葉ちゃんまだー!?』の声にはっとなって、


『今行く。

柳内くんありがとう、これにする』


急ぎ足でレジに向かってお買い上げ。そしてまた俺の所に戻ってきて、


『じゃあ私行くね。柳内くんも、先生に見つからない内に班の皆の所に戻った方がいいよ。

ソレは、買うの?』


俺の手に握られている木刀に視線を移して言った。


「うん?あー、、、どうすっかな。欲しいと思ったんだけど、大仏の所より値段が、、、迷うなぁ」


時間もないし、さっきまでの物欲が萎んでしまって、由野と似たような事を呟いてしまう。

すると由野はクスリと笑って、


『そういうの持ってるの、柳内くんっぽい。似合ってる』


そう言い残して店を出ていった。

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