とある漫画家志望が書くお話

小説モドキ。創作物。性描写含みます。

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ラストマーメイド(4)

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2017/07/22 10:45:19

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コハクの重心が移動し、知花の耳を甘噛みして囁いた。
吐息混じりのその低い声の色っぽさは、身体の奥を麻痺させ波紋のように全身へ広がっていく。
下腹部からジッパーの下がる音がして、スカートをめくりながら知花の太腿が撫で上げられた。それから下着へ向かうであろうコハクの手首を、知花は唐突に掴む。
「待って!?」
頭では、コハクを受け入れたいと思っている。なのにこんな抵抗をしてしまった自分自身に、知花はショックを受けた。
「あの・・・ちょっと・・・待って・・・?」
お互いの動きが止まり、コハクの返事は無く、暗い室内は静まり返る。
痛いほど視線を感じるが、軽いパニックに陥った知花は頭が真っ白で、言葉が出ない。
キスしようとするコハクの気配を、知花は慌てて遮った。
「ごめん・・・コハク・・・」
かわりに知花の頬に触れながら、コハクは「なんで?」と、どことなくムッとした声を出す。
「えっ・・・・・・」
息がつまりそうなほど脈拍が速くて、声が震える。
「まだ・・・怖い・・・のかも・・・。ごめん」
「怖いって、なにが?」
知花は躊躇しながらもコハクを見上げた。
切れ長の暗い瞳に、感情の無い口元、やっぱりいつもの淡々とした表情のコハク。
「・・・コハクって、なんで笑わないの?」
「俺が笑わねぇから怖いのか?」
笑っている所も、泣いている所も、怒っている所も、コハクの心の中ですら知花は見た事がない。
知花はそれが、コハクとの壁に感じた。
「そうじゃないけど、・・・そうかも・・・」
「どっちだよ」
フッと鼻で笑うコハクの目は、笑っていない。知花はいつも、そこに感じる距離が怖かった。
心の中を覗く能力を得た今なら、手が届くと思ったのだけれど・・・。
隙をつくように、コハクは知花の唇を奪った。
何かの映像が、知花に送られてくる。
「・・・え?」
コハクの作ったイメージだろうか?
2頭身のキャラクターと化したコハクが、知花らしき人形を嬉しそうに抱き締めていた。
『わ~~い!やっと知花をだっこできたよ~』
クルクルまわり、人形に頬ずりするコハク・・・
「んふふふっ・・・」と、知花は思わず吹き出しながら唇を離した。
「まだ俺のこと怖い・・・?」
なんとなくきまり悪そうなコハクに、知花は笑いをこらえて顔を振った。
「でも、コハクの笑った顔・・・見たい・・・」
コハクは困ったように首を傾げた。
「笑い方、わからねーんだ・・・嫌な事ばかりあったから」
知花の脳裏に、あの黒い雲が浮かんだ。空全体を覆うほど巨大な雲の中いっぱいに、コハクの辛い過去が詰まっているのだろう。
「現在(いま)は?」
「今・・・?」
コハクは舌先をちょろっとのぞかせて、知花の唇に吸い付いた。
『待ったばっかで笑えねーよ』
知花はまた「んふっ」と笑ってしまった。笑い声は、不意に胸を愛撫され無防備な喘ぎに変わる。漏れてしまった声の恥ずかしさで、知花は口を塞いで顔を赤らめた。
両手に覆われて盛り上がった胸の谷間から、コハクの上目使いと目があった。少し眉根が寄っていて、初めて見る表情だった・・・。

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