とおく  ゆらぐ

拙いながら、過去の記憶の残骸を混ぜながら綴っています。フィクション率は85%・・・

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テーマ:小説 > その他

2017/07/22 15:37:50

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ふいに、兄は私を離した。
乱暴に、ひきぬかれた指。
膝から崩れて、ペッタリと床に。

「僕が体を洗うから、邪魔だから湯船入りな」

頭上から、声をかけられた。優しい声。

「実乃梨」

柔らかくて、優しくて、怖い声に 今はさからわない。
抗えない

ヨロヨロしながらも、何とか浴槽の縁に掴まって湯船に入る。
温かなお湯の中に座ると、少しホッとして、また涙が流れ始めた。


兄は普通に、自分の体を洗う。自分の髪を洗う。
横で感じる動作を見ることは出来ず、お湯の中で抱え込んだ自分の膝をじっと見ていた。

気配がして、私の目の前 向かい合わせに兄が座る。


兄の視線を感じながらも、抱えた膝から目を離さない。

「実乃梨」
「・・・・・・」
「実乃梨、血も落ちて、綺麗になったね」
「・・・・・・」
「お風呂の事は、内緒だよ。もう大きいのに僕に洗って貰ったなんて、恥ずかしいだろ?」
「・・・・・・」
「馬鹿な実乃梨が、廊下で転んで鼻血出して、血塗れで汚くて、お兄ちゃんに綺麗にして貰った。馬鹿な実乃梨。汚い実乃梨。」
兄が笑う。優しい声で。


「・・・っ」
「泣くなよ、どうしたの?」
兄が私の膝に手をかけた。ビクッと、思わず顔を上げて後ずさる。
顔のすぐ近くに兄の顔。


「実乃梨、わかったの?内緒だよ?」
「・・・」
「実乃梨」
「・・・」

ふいに、頭が掴まれた
湯船に顔を沈められた

「!!!!!!!!」

ゴボゴボと沈む

苦しい!苦しい!苦しい!

頭を押さえつける手に、必死で抵抗した。
苦しい‼
苦しい‼



苦しい・・・ 力が抜けそう・・・


ふと、唐突に押さえが消えた。
私はお湯から逃れられた。

「っぶ、は、は、はぁ、っ っ 」

「実乃梨、わかったの?」
目の前に笑顔の兄
「っ わ、わ、わかった っ。な、ない、しょ」
息も絶え絶えに、言葉を、吐き出した
「いい子だね、実乃梨」


私の腕を抱えて、湯船から一緒に出る兄。
足がもつれ、息もまだ苦しいから、兄に寄りかかるように浴室を出た。

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