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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/07/25 06:57:18

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深夜。

のどが渇いて目が覚めた。

確か…サイドボードに…ペットボトルが…

手を伸ばしてそれを取ろうとして…

「あ…」

落としてしまった。

やだな…

何日も寝た切りだと、せっかくつけた体力も落ちちゃうよね。

早く元気にならなくちゃ…


…拾えるかな。

その前に、起き上れるかな。

ゆっくりと肘をついて、体を起こそうとすると…

「は…」

驚いて声にならなかった。

突然、

腕を持たれて…体を起こされた。

「…海くん…」

海くんは、あたしの背中を支えながら…ペットボトルを開けてプラスチックのコップに注いだ。

「…水差しがいるか?」

「う…ううん…平気…」

コップを受け取って、それを両手で持って…ゆっくりと飲む。

ああ…生き返る…


「……」

「……」

「…もしかして…毎晩…居てくれたの?」

「……うちの現場で出た怪我人だからな。」

あ、そう…。

て言うか…

昼間仕事して…夜中来てくれてたなんて…

…嬉しいよ…。

海くんは、立ったまま…片手であたしの背中を支えてくれてる。

労わるって言うよりは…

事務的と言うか…

だけど、嬉しい。


「…海くん。」

「水、もういいか?」

「…まだ飲む。」

「……」

「あたしの事、嫌いでもいいよ。」

「……」

「でも、あたしは好きだから。」

「…そんな話が出来るなら、もう付き添わなくていいな。」

「抱けなくていいの。」

あたしは、海くんの手を掴む。

「抱いて欲しいなんて、もう言わない。」

「……」

「ただ、昔みたいに…は無理でも…」

「……」

「傷付いたとか、傷付けたとかじゃなくて、ただ…笑う海くんが見たいの…」

海くんはあたしの手を離そうとしたけど。

あたしは…ギュッと掴んだ。

「…そんな簡単なもんじゃない。」

「どうして?朝子ちゃんは…もう笑ってたよ?」

「…俺から離れられたんだ…笑えても不思議じゃない。」

ムカッ。

「海くん。」

あたしは、今ある力の全てを出して。

海くんの両頬を挟んだ。

海くんの顔は、事務所のスタジオの前にある本棚の、ブラックジャックで見た『ピノコ』みたいになってしまって。

「アッチョンブリケ…」

あたしが、ピノコのセリフを言うと…

海くんが…

「…ふっ…」

「あ、笑った。」

「…………笑ってない。」

「海くん、知ってるんだ?アッチョンブリケ。」

「…紅美こそ、なんで知ってる?」

「え?ブラックジャックでしょ?」

あたしの言葉に、海くんは眉間にしわを寄せた。

「…何だそれ。」

相変わらず目は見ないんだけど…

頬に触れてるあたしの手は…振りほどかれてない。


「手塚治虫の漫画だよ。」

「…昔、二階堂で使われてた暗号だ。」

「え?」

誰だー?

そんなのを暗号にした人。

遊び心、あり過ぎじゃん。

あたしは小さく笑いながら。

「なんて言う意味なの?」

「それに意味はあるのか?」

「ううん。なかった。二階堂の暗号は何だったの?」

海くんは少しだけ瞬きが増えた気がした。

しばらく待ってると…

小さく答えてくれた。


「…確保。」

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