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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/07/24 15:06:02

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グレイスは嫌な顔をしたけど、あたし達はスタジオに通った。

そして、ノンくんのボーカルで練習をした。

「違う。沙都、そこはスライドさせろ。」

「あっ…うん。」

ノンくんは…

容赦なかった。

沙都と沙也伽は泣きそうになってたけど。

あたしは…もっと早くこうして欲しかった。って思うぐらいだった。


楽しくやって来た。

それがダメとは言わないけど、今はダメだったって事にして。

常に自分に厳しくしたいと思った。


毎日、ジムに通った。

体力作りも、今までみたいにリビングで適当にするんじゃなく…

ちゃんとメニューにそってやりたいと思ったから。

気付くのが遅いぐらいかもしれないけど、何もしないよりは、いい。


家に帰ると、母さんが料理をしてくれてて。

「もう、このまま一緒にいて~。」

なんて沙都に言われて嬉しがってた。


沙也伽は、ご両親がスタジオ見学に来たりして…

あまりのノンくんのスパルタぶりに、ヒヤヒヤしてたみたいだけど…

それでも頑張る沙也伽の姿を見て…何だか安心したのか。

一ヶ月滞在の予定が、三週間で帰国された。


もうすぐ二月。

足元がツルツルだけど、凍りそうに寒い朝だけど。

何だか今日は外を走りたくて。

あたしはまだ暗い内から外に出た。


最近体が軽いのは、トレーニングの賜物なのかな。

それと…充実した食生活と…グレイスやノンくんの厳しい指摘に耐えられるぐらい考え方を変えられた事。

打たれ弱かったあたしは、今や打って来るものに打ち返す勢いだ。


「ふー…さむっ…」

手袋はしてるものの、手がかじかむ。

息を吹きかけながら軽くストレッチをして駆け出した。


この街は、どの時間でも人がうろついてる。

治安は中の上ぐらいだけど、全く危険じゃないとも言えない。

自分の身は自分で守らなくちゃいけない。

だから、走るコースもなるべく表通りの明るい道を選んだ。


「!!」

2kmほど走った所で、突然目の前に車が停まった。

周りには、あたしを含めて…7~8人がいたと思う。

急に停まったその車から慌てて降りてきた男は、あたしの左前方にいた女性の腕を掴むと。

「来るな!!こいつを撃つぞ!!」

後ろからやって来た車や人に向かって叫んだ。

…え?え?

これって…何?

映画のロケ…とかじゃない…よね?

辺りは騒然として、だけど…あたしを含めて5人は逃げ場を失ってた。

と言うのも…

車が停まった反対方向に…仲間がいた。


「新しい車を用意しろ。警察車両は全部他へ移せ。さもないと、こいつら全部殺す!!」

あたしは…

こんな時なのに。

のんきな事を考えてた。

…海くん…来てくれないかな…


なんて…。



て言うか…

この状況、どうにかしなきゃ。

あたし、こんな所で死ぬわけにいかない。

デビューだってしなきゃいけないし、何はともあれ…本当は真っ先に海くんに会いに行きたい気持ちだったけど…

バンドが中途半端な時にそれはないな。って。

ちゃんと、進み始めたら…考えようって思ってた。

今は、バンドの事。


なのに…この展開…

あたし、ちょっと期待しちゃってる。

いや、ダメだよ…

人の命がかかってんだから…


銃を持った男は一人…

あたし達の後にいる仲間…三人は、ナイフしか持ってない。

オリンピック柔道で世界一になった早乙女さんに習ってたあたしだけど…

それも昔の話。

それに、サボりまくってたし。

人を巻き込む事になっちゃいけないから、下手に動くまい…


それにしても…寒い。

走って少し汗をかいた所だったから、余計に体が冷える。

風邪ひいたらどうしてくれんのよ…


そんな事を考えながら、ふと…上を見た。

「……」

上に…人がいる。

ビルの上から、ロープをつたって降りて来てる。

いや…それ…危ないんじゃ…

って、あたしが見てちゃダメか。

慌てて視線を他に向ける。

誰も…気付いてないよね…


頑張って!!上の人!!


なぜか全面的に警察を信用してるあたし。

それが警察なのか、二階堂なのかは知らないけど。

ただ、何となく…大丈夫な気がして、のんきに構えてたんだけど…

「おまえ、こっちに来い!!」

隣にいた女性が乱暴に引っ張られて。

「ちょっと!!そんな乱暴にしないでよ!!」

つい…大声を上げてしまったあたしは…

「うるさい!!黙れ!!」

ナイフで、切りつけられた。

周りで悲鳴が上がる。

あたしの左腕から…血がしたたり落ちた。

……痛くはないけど…熱い感じ。

これ、おニューのジャージなのに…って、また関係ない事考えて…

「…何…すんのよ…」

頭に、血が上った。

「何すんのよー!!」

あたしを切りつけた男に回し蹴りをくらわすと。

「今だ!!」

その騒ぎに、銃を持った男が振り向いたせいか。

警察は、その男を取り押さえて。

上からも人が降りて来て。

現場はあっと言う間に…犯人逮捕の賑わいに変わった。


「手当をします。車に来て下さい。」

上から降りてきた男の人に、そう言われて。

そう言えば、切られたんだっけ…って、自分の腕を見た。

ああ…母さんに叱られちゃうよ…

こんな時間に走りに出るなって言われちゃうよね…

そんな事を考えながら。

あたしは、その人について車に向かった。

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