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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/07/23 22:24:05

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当然だけど…

雰囲気は最悪。

あたしはDANGERのボーカルとして認めてもらえず。

かたや…ノンくんは、まだ実力の全てを出しきってない。と。

…何なの。

何なのよ。


「…俺は、歌わない。」

ノンくんがギターを片付けながら言った。

「…でも、ノンくんが歌わなきゃデビューはないって事だよね。」

あたしが低い声で言うと。

「それなら、しなきゃいい。」

ノンくんも、低い声で答えた。

「…そんなの…」

「今までの俺達は何だったんだ。そんな、ここにきていきなり形変えろって言われて、それでデビューできたとして…嬉しいか?」

ノンの言葉は、的を得てるかもしれないけど…

「じゃあ…今までのノンくんは何だったの?」

「あ?」

「あたしに合わせて、わざと全力じゃなかったって事?」

「別に手を抜いた覚えはない。」

「手は抜いてなくても、自然と…」

「……」

泣きそうになって、言葉が出なくなった。

そりゃあ、ノンくんは…上手いよ。

歌もギターも。

でも、だからって…

「手は抜いてなくても、自然と…何なんだよ。」

ノンくんはギターを担ぐと。

「俺は、おまえの状態がベストになるように考えてやって来た。それをわざと抜いてるように思われるのは心外だ。」

そう早口に言って、出て行った。

あたしは唇を噛みしめたまま…何も言えなかった。


「…紅美ちゃん…」

沙都が遠慮がちに声をかけて来たけど。

「…ごめん。先に帰る。」

あたしは、急いで荷物をまとめると。

逃げるように…スタジオを出た。


本当は…帰りたくなかった。

だけど、そんな子供みたいな事…したくなくて。

あたしは、ちゃんとアパートに帰って、めったにしない料理をする事にした。


基本…あたしはやれば出来る子で。

食べる方が好きだからしないだけで、母さんが料理してるのを見れば、作り方はだいたい覚えた。

冷蔵庫の中身を見て…

オニオンスープと、オムライスに決めた。


そんなつもりはないんだけど、食材を切る音が乱暴な気がする。

その音がよっぽどだったのか…

「沙都にしては乱暴だと思ったら…おまえか。」

ノンくんが、ドアを開けて言った。

「……」

チラリと顔は見れたけど…残念ながら言葉は出なかった。

…悔しかった。

ノンくんの才能が。


「珍しいな。」

ノンくんは何でもないようにあたしの後に回り込むと。

「何度も言うけど…俺は、おまえの歌じゃないと弾く気はないから。」

耳元で、そう言った。

「……でも。」

あたしは、手元を見たままで言う。

「でも?」

「グレイスの言った通りだよ。才能は…みんなにあるわけじゃないんだから、出した方がいいと思う。」

「……」

「何で出し惜しみすんの?」

「出し惜しみなんかしてねーけど。」

「じゃあ、どうして今まで…」

言ってると…手が止まった。

とにかく…悔しくて…

…あたし、ノンくんの才能に嫉妬してる?

こんなの、どうしようもないのに…

「じゃあ、おまえはグレイスの言う通りに、おとなしくサイドギターに徹すんのか?そんなの、どう考えても俺と、バックバンド三人みたいになるじゃねーか。」

「…グレイスが、それで成功するって言うなら間違いないんじゃないの?」

「はっ…おまえ、バカか?DANGERとしてデビューしに来たのに、何が悲しくて俺とDANGERだよ。」

「今まであたし達に合わせてただけなんでしょ?そうなっても仕方ないじゃない。」

「じゃあ、早く俺に追いつけよ!!」

テーブルに、ドン‼︎と手をついて、ノンくんが言った。

「っ…」

あたしはそれに驚いて…ナイフを落としてしまった。

「……」

「……」

「…驚かせて悪かったな。」

ノンくんはナイフを拾ってそれを洗うと。

無言で調理台の上に置いて…部屋を出て行った。


…早く俺に追いつけ…?

そんなの…

才能があるから言えるんじゃない…


今までにない、感情。

…あたしが…甘えてただけ?


その夜。

ノンくんは、食事をしに来なくて。

三人で、重い気持ちで食べて。

翌日の14時…スタジオに入ったあたし達は…


「話にならないわね。明日から来なくていいわ。」


グレイスに、そう…言われた。

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