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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/07/23 20:27:18

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それは…すごく…すごく、辛い一日になった。

「クミ、ちょっとボーカル下がって。」

プロデューサーのグレイスが、突然そう言って。

「カノン、歌って。」

「…え?」

あたし達四人は、グレイスの言葉に呆気にとられた。

「いや、俺はギターだけで。」

「いいえ。あなたが歌って。」

「……」

「早く。」

腕組みをしたまま、グレイスが言った。

あたしはノンくんに…

「…いいよ。歌ってみてよ。」

言った。

ノンくんは小さく溜息をつくと…

「…どういう意図で?」

グレイスに問いかけた。

「聞きたいだけよ。」

「……」

沙也伽は首をすくめて。

「じゃ、とりあえず…」

カウントを取って、曲が始まった。

あたしは…おとなしく、バッキングだけ弾いてみる。


ノンくんの歌が始まって…

「ストップ。」

グレイスが、音を止めた。

「……」

「カノン、本気で歌って。」

「…本気だけど。」

「嘘。ちゃんと歌って。」

「……」

ノンくんが沙也伽に目で合図して。

曲が再び始まった。

ノンくんがマイクに近付いて…

「……」

あたしは…一瞬体が震えた。

沙都と沙也伽も…顔を上げてノンくんを見て…

そして、あたしを見た。

グレイスは腕組みをしたまま…ノンくんを見据えてる。

な…に、これ…

そりゃあ…ちさ兄と知花姉の息子で…

それでなくても、超サラブレッドなのに。

祖父母までがシンガー…

…この、ノンくんの…力って…


今まで、あたしに合わせて落としてたって事?

何なのこれ…

全然…あたしより…


「いいわ。」

曲が終わって、グレイスが言った。

「このバンドのサウンドには、カノンの声の方が合ってる。」

「俺にはボーカルは無理です。」

「無理?今のを聴いて、あなた達はどう思った?」

グレイスに問いかけられた沙都と沙也伽は…

「…まあ…すごいって…思ったけど…」

遠慮がちに言葉を濁した。

「クミ、あなたはどう思った?」

「……」

どう思ったか…なんて…

言葉に出来ない。

「カノンがボーカルでいきましょ。クミはサイドギターで。」

グレイスの発言に。

「何言ってるんですか。俺は紅美のボーカルじゃないと弾かない。」

ノンくんはそう言ったけど。

「あなた…才能って物は、誰にでもあると思ったら大間違いよ。」

グレイスは、ノンくんの肩をドンと突いて言った。

「あなたが持ってる物を出し尽くさないと、このバンドは成功しないわ。」

「……」

「じゃ、また明日の14時に。」

グレイスはそう言うと、スタジオを出て行った。

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