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いつか出逢ったあなた

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2017/04/21 21:39:57

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…のこのことやって来てしまった。

ナッキーさんに渡された紙に書いてある住所。

薄暗い廊下が、ちょっと怖い。


部屋の前まで来て、躊躇する事30分。

物音一つ聞こえない。

まだ帰ってないとか…


心臓に悪い。

さっさと会って、自分の気持ちを話して帰ろう。

…自分の気持ち?

…………

どう話すの…?

勢いだけで来てしまったのが、よく分かる。

…バカなあたし。


ピンポーン。

それでもチャイムを押してしまったのは、顔を見て、まだ写真を欲しいって思うかどうか…

なんて、くだらない理由かもしれないけど。


「はい。あら…誰。」

口から心臓が出るほど驚いた。

ドアが開いた。

中から出て来たのは真音じゃなくて、女の人だった。

…恐らく、マリさん。

それも、シャツ一枚という…すごく…その…目のやり場に困るような…


「あ…あの…」

「何?ナッキーはいないわよ。」

「いえ…」

「マノン?」

「……」


なんてきれいな人なんだろう。

女のあたしでも見とれてしまうほど。

どうして真音は、この人じゃなくて…


「なんやマリ、呼ん……るー?」

「…こんにちは。」

ふいに、マリさんの後ろにやって来た真音。

上半身裸。

当然、あたしはよからぬ想像を始めた。

世間知らずなあたしでも、さすがに察してしまえる空気が漂った。

「ど…どないした?なんでここに?」

「…なん…何でだろう…ね。」

「……」

変な空気。

胃が痛い。

「…失礼しました。」

深くお辞儀をして、あたしは駆け出す。

「おい!!るー!!ちょい待てや!!」

背中に真音の声が聞こえたけど、あたしは止まらなかった。

どういう事?

ナッキーさん、こうなるって分かってたの?

自分の彼女を真音にとられそうになったから、嫌がらせ?

そう思いたくないのに、どんどん悪い方へと考えが進む。

あたしは、遊ばれてたのよ。

きっと。

世界が違う。

違いすぎる。

もう、関わるのはやめよう。



「待て言うとるやないか。」

駅の手前で、腕を掴まれた。

だけど振り向けない。

あたしの顔は、きっと涙でぐちゃぐちゃ。

「るー。」

「……」

「うちには、なんで?」

「さ…さよならって言っておいて…あたし…」

「それは…ええから。」

「……」

「こっち向いてん。俺、服着てるで?」

そんな事気にして振り向けないんじゃない…!!

と思っても、口にできず…

「…なんか、想像したやろ。」

しないわけないでしょ。

「でも、なんもないで?」

信じられるわけ、ないじゃない。

「なんかあったら、こうして追いかけてこんわ。」

「……」

「俺にも罪悪感はあるで?でも潔白やから追ってきた。」

カバンを持ってる右手を無理矢理顔に近付けて、涙を拭く。

恐る恐る振り向いて真音を見ると…

「家まで送る。」

…優しい顔。

それだけで、もういいと思ってしまった。

何に対しての『もういい』なのか分からないのだけど。

あたしの事、好きと言ってくれたけど…きっと気の迷い。

マリさんを見て思った。

いつも美味しい物を食べてたら、お茶漬けが食べたくなる。

そんな心境なのかも。


「なあ。」

「…はい。」


肩を並べて歩く。

真音は、あたしに合わせてくれてるのか…随分ゆっくりなペース。


「今から言う事、俺、マジやから。ちゃんと聞いて。」

「……」

黙って真音を見上げる。

目が合うと…真音は本当に真剣な顔だった。


「最初は、るーの事、興味本位やった。今までにないタイプやし。」

ハンマー叩かれた気分。

物珍しかった…って事よね…

「でも、興味や好奇心が恋につながるのなんて、普通やん?」

「………」

そう…言われると、そう…よね。

あたしだって…

「るーはこういうのが好きなんやろうか、とか、これを見たら、どない驚くんやろう、とか…気付いたらそんなんばっかやった。」

「真音…」

「…やっと呼んでくれた。」

真音が立ち止まる。

それにつられて、あたしも。

「髪型、似合うわ。一瞬誰や思うた。」

髪の毛に触れる…真音の手…

………どうしよう。

ドキドキしすぎて…気持ち悪くなってきた。

「でも、三つ編みも好きやな。」

これここここれは…

一般的に言う『いい雰囲気』なのかしら。

でも…でも!!

「ご…ごめんなさい…」

真音とは反対側にある、ジュースの自動販売機に寄りかかる。

「るー?」

「き…緊張して、気分が…」

あたしが小声でそう言うと

「あははははははは!!」

真音は声を上げて笑って

「るー、好きや。」

あたしを………抱きしめた!!

「△×%$~!!!!!!!!」

悲鳴も出ない。

真音は、きっと変な顔をしているあたしを覗き込んで。

「あれ?もしかして、イヤやった?」

ああ、今の顔、欲しい。

と思わせるような笑顔をした。

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