夢のあとさき

判るのは過去と現在。夢のあと、に残るのはどんな未来だろう。徒然なるままに…。

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やっかいな客②

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2017/04/10 22:54:21

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お店を開く前から知っていた、1・2コ下の独身君。
職業は独立してる一級建築士でそこそこ稼ぎも良い。

見た目は100kg以上のおデブさん。
性格は今で言うコミュ障さん。
良く言えば?人見知り。
友達はあたしが知る限り…1人だけ。
そんな風貌もありきで、
初対面の時感じたのは「面倒クサっ」。
お店で知り合ったので "仕事"として会話を頑張る。


当時、独身君(仮名)はそのお店に好きな人が居たので
結果的にあたしはお悩み相談役ってポストだった。

独身君の好きな人は6・7歳上のバツイチ子持ちさん。
高校生の息子さんが居る、小悪魔的な人だった。
あたしよりも年上だったのに、
あたしよりも年下に見られ、
本当に可愛い感じの人なのだが、
男性陣からは天然と言われるものの
同性からは腹黒いんだろなぁ、と思われるタイプ。


独身君、お金はあるから
ちょくちょくお店に通っては
寿司だの肉だの食べさせてくれる。
お店で飲むのも結構な高級ブランデー。
誕生日とかのお祝い事にも
必ず数万単位のプレゼント。

・・・良いお客さんだった。お店にとっては。


小悪魔さん(仮名)、独身君なんてまるで恋愛対象外で
相談役のあたしはよく巻き込まれた。
必然的におこぼれ一杯貰えるから、
まぁ実害ないしそれで良かったんだけど…。

いつか小悪魔さんは本業が多忙になり、
お店のバイトは辞める事に。

独身君は小悪魔さん抜きでもあたしを誘い、
ある日一緒に寿司屋へ行った時…。


「俺、小悪魔さんは好きだけど
 息子までは愛せれんと思う…」と零し始めた。

(おやや?と思ったものの、彼は喋り続ける。)

「ほら、俺の家って地元の名家だから
 結婚するとなったら、親戚中が煩いのよ…」

(今どき名家とか知らんけどw)

「若い時から何件も釣書持って来て、
 何回も見合いさせられたしね…」

(いや、それ全部ポシャったやん?w)

「バツイチ、までは許されても
 子持ち、ってのは…なぁ
 絶対猛反対されるんだろうなぁ…」



ちょw

小悪魔さんに告白すらしてないぜ?
もうそこまで妄想進んでるの???

笑いたいけど笑えない。
言いたいけど言えない。


独身君は真面目に悩んでたからーーーーっ!


引き攣る頬、
開いたままの口、
固まる全身。



そのタイミングで彼は言った。


「ごめんね、君は二番目だから…。」



ホ…ホワイ?

ドゥ… Do you speak japanese???




今、なんと?
しかも「ごめん」って??




まるであたしが
アンタを好き♡みたいな言い方やないかーっ!!
叶わぬ恋をしてるみたいやないかーっ!!!


小悪魔さんの事だけじゃなく、
そこまで爆走妄想族になれるのは
どんな脳ミソしてるんや…。



隣で引き攣るあたしの表情。
あぁ、お客様で無ければ…
あぁぁ、太客で無ければ。

喉元をグッと堪え、
浴びせてやりたい胃液や
吐き出しそうな暴言たちをビールで流し込む。


お仕事お仕事っ。


その後独身君とは我慢を重ねながら数年付き合いが続く。
お店を変わっても相変わらずの太客ぶりも健在。
小悪魔さんはもう会えないから
担当はあたしが引き継ぐ形に。
いや、他の人では無理だろう…。



1つ、独身君に関して
どうしても忘れられない事象があった。

初めて会ってからのあたしの誕生日。
特にプレゼントねだった訳じゃない。
仕事としてお店には呼んでいた。


独身君、御来店。
手には小さめの紙袋。
「いらっしゃい♬」
席に座る。

「これ…。」

と言いながら紙袋をあたしに差し出す。
ありがとう♡と言う間も与えられず、

「予算オーバーなんよね」

え???
受け取ろうとしながら固まるあたし。

「ブランドショップで何買うか迷って、
 店内ウロウロしたら面倒臭くなって、
 煙草吸うからライター買ったら
 予算かなりオーバーしたんよね」


頼んでもないのにここまで言われて、
断固受け取り拒否したかったあたし。

そんな愚痴言う前に
おめでとうの一言も無いんか。
他の人達の手前、受け取るしかなかった。
ありがとうなんか言いたくなかった。

後で調べると約4万円のブランドライター。
今時ガス入れるんも面倒やし、
重いだけで実用性は100円ライターで充分や。


本当にコミュ障全開な人間性。
太客じゃなければ是が非にも敬遠したい。


そんな一件もあり、独身君の対応には
あたしがトリセツ作成出来る程だった。


知り合って数年後、あたしはお店を開いた。
開店祝いから誕生日(女のコ含む)…と
祝い事には勿論の事、
やはりウチでもお金を落としてくれるので
大事に大事に扱って来た。
時にプライベートで仕方なく遊びに付き合ったり
独身君の仕事のお手伝いも頑張った。

それでも独身君の口癖は
「この店に一番お金遣ってるんよね」
「高いモンいっぱい食べさせたよね」

してやった、してやったと言われ続け
それでも我慢で偽善なあたしの、歪んだ笑顔。

コミュ障、健在です。



ある日、いつもは事前に来店連絡あるのに
突然に初見の相手と二人で来店。
店内そこそこ賑わってたけど
カウンターに二人座れるので
こっち、こっち、と手招きした。

入り口から動かない独身君。
周囲を一瞥して、"ふんっ"って態度で店を出た。

え???
店内に居た皆が呆気に取られる。
「俺、何か悪い事したかなぁ?」と
気にする人まで続出。



何かがあたしの中でパツン!とキレた。

もう、後を追う気は無かった。


独身君から無理矢理借りさせられた、
DVD数枚とデッキの一式。
それだけが気掛かりで、
後日すぐ取りに来てくれメールを送った。

「えー、今日雨やのに…」
いや、すぐ来てくれ。

数日前の出来事は一切口にせず、
用意した一式を無表情でお礼伝えて渡す。


そのあたしの非情な顔で
彼も何かを感じたはず。
数年間、引き攣ってでも笑顔を保った。

でももう、お客と認めないと決めたので
素のあたしで充分だろう。


彼が帰った後、
高額など気にせずボトルを流す。
携帯にある連絡先を消去する。


太客だろうが何だろうが、
他のお客さんに迷惑や心配掛ける様な、
そんな奴はウチに要らない。
お客様は神様じゃないんだよ?
店にも客を選ぶ権利あるんだよ?
いつまで俺様なワケ?

しかもアンタの女でも無いし。

サヨウナラ。



それっきり、独身君は姿を現さなかった。
3年間。









が、つい最近

満を持して奴がやって来た。

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