ナホさんのブログ

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お母さん、その河を渡らないで 2

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テーマ:小説 > 妄想

2016/11/27 19:49:46

  • 1

お母さんは結局、人工透析治療をすることになった。
最初は症状が軽かったので、自分でキットを使用して自宅で行う透析で済んでいたが、段々そうもいかなくなり、本格的に人工透析治療をすることになった。
当然退職となった。
人工透析治療には週3回病院で何時間もベッドに寝て透析してもらうという時間を必要とするのだが、車の送り迎えは奴しかできず、その他家事の負担軽減もあり、退職金と保険金をあてにして入院することになった。
私はバスを乗り継いで、透析がない日に出来るだけお母さんの病院に通った。
お母さんは、見舞いに来る暇があったら勉強していて、というのだが、私は何故か少しでも長くお母さんの傍にいたかった。

お母さんと過ごせる時間は長くないと、本能的に感じていたのかもしれない。
お母さんが比較的元気な時は、周りの人に迷惑にならないように、色々な話をした。
思い出したこと教えてもらったこと、皆心に留めておく。
お父さんがいなくなって生活が苦しくなっても、私のことを第一に考えてくれたお母さん。
いつも忙しくて疲れていただろうに、精一杯いろんなことをしてくれた。
病院に通うのに気まずくならないように、私は出来るだけ最低限のことをするように努めた。
奴には、お母さんのそばになるだけいたいと言った。
ユマ姉さんは善の人なので、自ら「私の事は気にしなくていいから」と言ってくれた。
私も、学校生活、分担制とは言え家事、病院への通い、とだんだん疲れてきたそんな時に、
夢を見た。

お母さんが土気色の顔ではなく、元の血色のいい透明感のある肌で、「さな」と呼んだ。
「お母さんはお父さんに会ってくるから」
「お母さん、私は?」
「しばらくうちの事を頼むね。深いところは泳げないと行けないとこだから、私だけ行ってくる。」
いつの間にか、私とお母さんの前には、大きな河があった。
お母さんは靴も服を脱がず、河に入って向こう岸に行こうとした。
「お母さん、私も一緒に行く」
お母さんは答えなかった。
そして、いつの間にか深いところまで歩いていて、見えなくなった。
お母さん、嫌だ。
私は叫んでいたらしい。
ユマ姉さんが、心配して私の部屋に入って起こしてくれた。
「夢だから、夢見たのだから」と背中をさすってくれた。
その温かさで、夢だとわかり落ち着いたが、
夜が明けてからの知らせで、取り乱してしまった。
お母さんは、二度と戻れない河を渡ったのだった。

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