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チェンジ ③ (花エク)

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テーマ:小説 > 男女関係

2016/11/27 05:56:23

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「ちょ、ちょっと、お客さん!大丈夫かい?」

「ん…い、イテッ…」

ハルが目を覚ますと、アンティーク店の店長が心配そうにこちらを見ていた。
最後に見た悪魔は、あれはメフィストの思念を強く残した鏡のような悪魔だった。

(ずっと前にメフィストに目をかけられ、大方忘れられていたのだろう。
残党もこれから出現するのかと思うと、あまり軽々しく街へ繰り出せないな…。)

せっかく、アンネは楽しんでいたのに。

ハルは残念だったが、
よいしょ!と体を起こそうとした、その時だった。


「うぉっ?!」

「おや、お嬢ちゃん大丈夫かい?!」

俺はドタッ!っと、足に何か布の様な物が引っ掛かって、滑って転んでしまった。
その瞬間に、ハラ…ッと顔に何かかかる。

「ん…?
髪の毛?ん?…んん?!」

おかしい。
俺の体には無いものも、眼下に広がっている。
この服には見覚えがある。

ま、まさか…


「…ん、…は、ハル…?」


隣で寝ていた青年が、
仕草のせいでアンネにしか見えなかったが、
アレは、紛れもなく〝俺〟だ。

コメカミを抑えながら、青年は起き上がったあと、
いつもあるはずの髪の毛が無いことに気づき、
いつもあるはずの胸が無いことに気付いて、
ハッとこちらを見てきた。

大きな瞳が驚いた様に見つめてくる。


「あ…、あ…、れ?私…??
あれ?え?」

「アンネ、とりあえず落ち着いて。
お前は今、〝俺〟になってる。
2人きりになるまで、男を演じてくれ」


ハルはそう言うと、
先ほどとは打って変わって女性らしいそぶりを見せながら、ゆっくり立ち上がった。


店長はオロオロしながら、心配げに手を出した。
俺はその手を取り、店を荒らした非礼を詫びたあと。


アンティークの本が突然光って驚いたこと、
その本がどこかへ飛んで行ってしまったこと、
どこで手に入れたかを聞いた。


「ありゃあ、ここから遠い遠い国、《砂漠》って国から来た行商人から買い取ったモノなんだよ。
鍵は元々付いてたんだが、なんだか何処かで落としちまったのか、いつの間にか消えちまってたんだ。
とにかく、お嬢ちゃんらに大事がなくてよかったよ!」


店長はホッとしたのか、大きな声で店員を呼ぶと、
片付けを頼み、未だ腰が抜けたままのアンネ(体はハル)を抱きかかえた。


「ニィさん随分イケメンだねぇ、ウチの娘の婿になって欲しいなあ!どうだい?看板娘だよ?」

「なっ、えっ、と、あの…!」

「すみません、この人は私の夫なんですの。
他の方は目に入らない程愛されてますので、
他を当たってくださいな」

「あっ、そ、そうなんです!
わた…俺、その、この方しか愛せないんです!」

アンネが必死に、しどろもどろに男言葉を話すのが面白くて、ハルは思わず吹き出してしまったが、
店長はガックリして、じゃあ、しょうがねえな…とアンネを下ろした。


「おじさん、本の行方を知りたいんですが、
何処へ行ったか分かりますか?」

「ん〜、どこだろうな、何せ他の客を見てたから…
だが、光がどこか外へ…、そうだな、東に向かって飛んで行ってたかもしれないかな?」


「そうですか…。追ってみますわ。
ありがとうございます」


ハルは礼を言うと、
アンネの手を取って外へ出た。


丁度、朝9時を知らせる街の時計が、
音楽を鳴り響かせていた。

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