2つの舟

胸が痛いです

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テーマ:小説 > 恋愛

2016/11/28 11:39:30

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暮れてゆく太陽。
吹き付ける風。

冷たい頬のまま、家までとぼとぼと歩く。

涙は既に引いていた。
やけに冷静だった。

自分がDr.にしでかした事。
感情のコントロールが出来なかった事が情けなくて悔しい。

好きな人を困らせてどうするんだ。
Dr.の優しさに何度も救われて来たのに。

虐待という暗い海で溺れていた私に、救命道具を投げて救ってくれた人なのに。

感謝してもしきれない。


家に着き、自分の部屋に座り込む。
暖房器具はないが、室内というだけで少し暖かい。


「帰ったの〜?挨拶ぐらいしろ。」

母親が勢いよく部屋の襖を開ける。

私は座り込んだまま、無言で母親を見上げた。

母親は私の顔をじっと見てから、

「久しぶりに作ったから食べろ。」

と、ご飯がダマになったチャーハンの乗ったお盆をどん、と床に置き、襖を閉めた。

不味そうなチャーハン。

なのに、お腹が鳴った。

おもむろにスプーンを取り、口に入れる。

母親がたまに昔から作る、いつもの味だった。
醬油だけの美味くも不味くもない味。

辛くてもお腹は空く。

私はガツガツとチャーハンをかきこんだ。
同時に涙がボロボロこぼれる。

私の為に苦手な料理をした母親。
不器用だけど、ネグレクトから変わろうと努力してる。

それは、Dr.のお陰ではないかもしれないけれど、少なからず影響はあるはずだ。

チャーハンを食べ終わり、部屋の窓から月を見上げた。

月はいつものように輝くのに、まわりの雲が何度も光を隠す。

黒い雲は私だ。
月に憧れて、でも近づけないから邪魔をする黒い雲。

明日も病院に行かなくてはならない。
看護師さんと約束したから。

もしDr.に会ったら。

Dr.に会ったら、普段通り、何もなかったように。
冷静に静かに。

私には、時間が過ぎるのを待つしかないのだ。

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