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558、溢れる感情、触れる

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2016/11/20 20:35:19

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河川敷の近くの駐車場に車を止める。
まだ来ていないようなので、少し降りて
歩こうと思った。
降りて、歩き出す。
景色を眺めながら歩くと、色んな感情が流れ込んで
来る。
稲田を想い、泣き、怒り、落胆し、諦めた。

私は、ふと
後ろを振り返った。
稲田が、何も言わずに歩いてきていた。
私は、稲田を待たずに先に歩いて
死角になるような場所を探して、その場に
座った。
程なくして、稲田が横に座る。


ほらっ、と、
缶珈琲を手渡される。
ありがとうと、受けとる。



しばらく、無言の時間が流れる。
二人で遠くを眺めていた。
私は、怒りよりも、、、
すごく悲しい気持ちになっていた。
下を向いて、涙を我慢するのに必死だった。





どんなに、むかついても
どんなに、怒りが込み上げてきても





あの頃、本当に
稲田を想っていた。
その感情が、今さら、、、本当、今さら
溢れてくる。






「のの?、、、、ごめんな。」
私の肩を抱く。
拒むことが出来たのに、拒むことをしなかった。
下を向きながら、稲田の胸に顔を埋めてしまった。
どうしようもなかった。





触れたくなってしまっていた。





あの時、誓ったのに
病院の前で、目を覚ますなら目の前に
もう2度と現れません。
かかわりません。そう誓って気持ち押し殺して
離れたのに、、、、







稲田は、そのまま
ギューッと抱き締めてくれた。
私は、稲田の匂いと体温に、溺れて
しまいそうだった。
稲田の麻痺の残る手を握ると、少しだけ
握り返してくれた。
それだけで、また涙が溢れてくる。




「ごめんな。
本当に、ごめん。


俺、ちゃんと二人に話す。
結果は、どうなるかわからないけど、
ちゃんとするから。」




私は無言でいた。
ゆっくりと、稲田から離れた。
顔を上げて稲田を見る。
痩せたけど、ちゃんと稲田だった。



「ご飯は食べてる?薬は?体調は?」



「ののは、変わらないな、、、
俺が変わってしまったんだな。
ののは、ちゃんと見ててくれてたのに、、、」
そう言うと
稲田は、下を向いて……










泣いていた。










稲田が、泣いていた。









私は、頬に手を伸ばしてしまった。
無意識に、、、、

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