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ユキさんのブログ

エンディング♪世界が終わるまでは〜♪のとこをYSB登場選手に置き換えると萌えてしまう

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高校3年生 空のおまじない

しおりをはさむ

テーマ:小説 > 恋愛

2016/11/21 15:35:28

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監督は
お化けでも見るみたいに私を見たのに

ギュッと抱きしめて
一度だけスーッと息を吸った

確かめたの?

匂いで確かめるなんて



犬か



「監督あいたかったよ」
「かな…」
「監督…」


「アホかやめろ!」

捨てられた

「ここどこだと思ってんだ!」
「いった…捨てなくてもいいじゃん!」
 寂しそうな子犬みたいな顔したくせに!」
「してねぇし!」
「みんな見てやるな」

「俺もした〜い!」
「俺も〜」
「じゃ次俺!」
「並ぶな!」

「はい次の人〜」

「かなさん!」

「ミニ!」

ミニは可愛いのにやっぱり男の子
その腕は頼もしくて
私は軽く足が宙ぶらりん

「緊張してない?」
「大丈夫、ベンチの中にかなさんが見える」
「いないよ?」
「幻」
それ大丈夫?
「ミニ…」

「もうこれからは私じゃ無くて」

ミニの腕から離れると
ミニは監督と同じように子犬みたいな顔して


「みんな集合」

ゆっくり集まり輪になるメンバー


どうにかしてあげたかった


「私がみんなの試合を見に来るのは
 たぶんこれが最後」

センバツにはもう行けない

ベンチの中に私を探すんじゃなくて


「負けそうな時には…空を見て?」


「空?」


「球場の上には
 大きな青い空があるでしょ」



苦し紛れだったかもしれない

負けそうな時は
大きな空をつい忘れて
地面の茶色の土ばかり見てしまう

へなちょこたちが
心が晴れて上を向ける
おまじないが欲しかった

空の中に私を探すかな

青い空には弧を引いて

曇り空だったら
雲を弧で割って

大きな青空を描いてほしかった






「かな、大貴は?」
「敵の恩師に会いに行った」
「裏切りやがったな」
「気ぃ遣いだから」
先生は青藍に割り込まない
「その袋なんだよ」
「これ?お土産じゃないよ!
 お買物して来たの!しまむら!
 ねえしまむらあるんだよ!
 センターの向こう側くらい!
 で、さやんちは三塁側の向こうくらい
 今日さやんち泊まるの!
 さやがご馳走作ってくれたんだって!」
「楽しそうですね…」
「ちょー楽しい!」
「あそうだ、これ久保先生から
 すぐ大貴に渡せよ
 久保先生事務所にいるって言って」
「オッケー
 あ、ねえねえ写メ見た?」
「見た
 お母さん30枚くらい送ってくれた」
「携帯貸して」
「は?なんで?」
「いいからいいから」
「嫌だってヤメロ…!」

監督は大体ポッケに携帯入ってて
携帯音痴なくせに
最新のスライド式

「は?」

画面が隠れてないからすぐ見えるでしょ?

私が変えてやらなくても
監督の携帯の大画面で
ドレスを着てバットを構えた私が
大笑いしていた

「ぷ」

オードリーヘップバーンも送ったのに
先生とツーショットもあったでしょ?

「これが一番可愛かった?」

「う、うん…」

かーーわいーー!


「監督もうすぐシートノックです!」
まさくんが中から呼びに来て

「おう、すぐ行く」

「じゃあね監督!」
「かな」
「ん?」

監督はやっぱり
寂しげな子犬みたいな顔して

髪をスッと撫でた

「監督、ほら」

空を指差すと
監督は指につられるように見上げて

「かな、サンキュ」

通用口から入っていった





うちの市営球場はわりと新しいから
綺麗な人芝で
おおきなバックスクリーンに
大きなスタンド
チケットブースがあってゲートを通らないと
スタンドには入れない

だけど野島市民球場は
外の階段からそのままスタンドに上がれるようになっていて
この一塁側の通用口のすぐ横にも
上がれる階段があった

これはタダで入り放題?

階段には一応
正面でお金を払うように貼り紙があったけど
払わなくても入れそうだった

上で待ってるさやたちのとこに行こうと思って…
ちゃんと正面に回った


「すみません、高校生一枚ください」
「学生証お持ちですか?」
「え」
「なければ身分証を」
あるわけないじゃん
「一般500円です」
やっぱタダ入りすればよかった
なんて厳しいんだ野島市


「かな」

お財布から500円出したとこだった

「よかったな
 大人っぽく見えるってことじゃん」

一瞬誰だかわからなかった

この前会った時よりも
ずっと大人っぽくて

でも笑った顔は前より柔らかかった


「よっち!」


「あっちから入ればよかったのに」
「いや、良心が痛んで…」
「良心あったんだ」
返す言葉は見つかりませんけど

「さやんち泊まるんだろ」
「うん!」
「布団入れときましたって言っといて」
っていいながらよっちは鍵をくれた
「返しといて」
「さやんちにいたの?」
「部長んち」
「そっか」
「じゃ、またな」
「え?
 さやたちと試合見るんじゃないの?
 鍵もって来ただけ?」
「いや…」


「お前の顔見に来ただけ」


よっちのこの顔は出会った頃から好きだった

大人っぽくてクールで
少しだけ笑みを混ぜた表情

呼び止めても
止まってはくれなかった




500円払ってコンクリの階段を上がると
小さなスタンドにすぐさやとトドは見つけられて
茶色のグラウンドでは
青藍のシートノックが
いつも通りの楽しい空気で終わろうとしていた

ポーカーフェイスのクールに決めた顔も
私にはこれが
楽しい顔かそうじゃないか
見ればわかった

「さや、これ…」
鍵を渡すと
「は?吉沢?会ったの?」
「下で偶然
 返しといてって
 布団入れといたって」
「入れといてってメールしたの
 帰るの日が暮れるって忘れてた」
「何だアイツ帰ったのか」
「むしろよかった」
「確かに、明日慰めてやろ」
「え?何?」

「あ、紫藤先生来た」

スタンドに入る手前
先生は一瞬
脱力するようにため息をついた

ように見えた

「先生!」

私たちの方に気付いて
その表情はいつも通りに笑った

「お待たせ」
「先生どうしたの?」
「え…何が?」
「いや…なんか」
「どうもしないよ
 川原監督…年取ったなって思って」
「だって12年も前でしょ?」
「まぁね…」


『まず守ります…日理大附属高校の…』

アナウンスが始まって
先攻の青藍はベンチの前で円陣になっていた

今まで私がいたその中心は監督で

「何話してるんだろ」
「何か笑ってねぇ?」

ゴンがはたかれたり
オサムが蹴られたり

解かれた円陣から
トップのミニが準備して打席に向かう


『1回の表…青藍高校の攻撃は…
 1番…セカンド…田沢くん』

トップバッターのくせに
緊張しいのミニは
サインはないのに

ベンチを見た


こうやって見てたんだね


青藍をはたから見るようになって
みんながどれほど
見ていたのかわかった

ミニの緊張した顔
3回ジャンプを待ってるのかな


主審が打席に入るように促すと
ベンチを見ていたミニは急に


空を見上げた


「そうだよ…」

よかった
思い出してくれて…


「え…?」


違った

思い出してくれたんじゃなくて

監督が思い出させてくれていた


大きな空を指して

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コメント21

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  1. ルカさん(25歳)ID:5641540・11/21

    かなちゃんの居ないベンチ…寂しいね(;-;)
    みんな、空を見るんだね(*≧∀≦*)
    茶色の地面でなく、青空を見上げて
    かなちゃんの笑顔は青空と同じなんだよね(●^o^●)

  2. ユキさん(32歳)ID:5640548・11/21

    マリナさん
    そっかケイゴ負けちゃったのか!
    空気が悪くなると更に投げれなくなるんだよね〜(;・∀・)
    どんまいケイゴ!
    そんな日もある!
    空を見てひと呼吸だ!

  3. マリナさん(45歳)ID:5640519・11/21

    かなちゃんは偉大だ~!笑
    昨日、うちのけいごは試合だったんだけど、途中からピッチャーで。
    ストライクが入らなくて、どんどんチームの空気が悪くなって、負けちゃったんだ…💧
    そんなときこそ空を見上げればよかったんだよね(°▽°)
    ユキさん、ありがと~😍

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