グラデーション

夫を裏切りたいわけじゃない。でもあなたに惹かれていってしまう…

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テーマ:小説 > 恋愛

2016/11/18 16:07:07

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待ち合わせのレストランに、友人の三枝紀子はもう来ていた。
キープした席から、手を振って真尋を呼ぶ。

日曜の昼下がり、レストランは待ちのお客さんがいる程混雑していた。
少し恨めしそうな家族の横を通り過ぎながら、真尋は店の奥に入って、紀子の前に座る。


「遅れてごめんね」
「ううん、平気」

と紀子は短くなったタバコを灰皿に押し付けた。


「あれ、真尋、ちょっと老けた?」

ざっくばらんに思ったことを言ってしまうのが、紀子の性格だ。
慣れているつもりだったが、1年ぶりの再会で、
出てくる際にも、夫とあんなやりとりをした後だったから、
他意のない一言がズキンと刺さる。


「もうやだ。私だって来年40よ?」

そう卑屈に笑って、紀子のセリフを受け流す。


「そうよね。わかってるわかってる。
お互いさまって言いたかったの」

紀子も笑ってごまかすが、
その紀子の肌艶は白くもっちりしていて、シミもない。

(同級生には見えないだろうなあ…)

美人の友達を持ったことを、ちょっと悔やんでしまう。


三枝紀子とは高校時代からの付き合いだ。
どっちかというと地味で控えめな真尋と、
美人で気が強く大胆な性格の紀子の組み合わせは、
高校の教室内でさえ、異色にみられていたものだが、
あれから20年を経て、お互い40に差し掛かろうとする今、
その差はさらに開いてしまったように思える。


「なんにする? まだ私もオーダー取ってないんだ」

真尋にメニューを差し出しながら、紀子が言う。
メニューはパスタやピザが中心で、
ワインやお酒のおつまみになりそうな一品料理も豊富にある。


「…どうしよ。ちょっと太ったからなあ」
「何言ってんの。食べたら、その分運動すればいいのよ」

結局和風ソースのパスタとサラダのセットにした。
それにグラスワイン。


「昼からお酒飲むのってサイコーよね」

笑顔の紀子とグラスを重ねて乾杯すると、
日頃の鬱屈した思いも、少し晴れていく気がした。

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