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夫を裏切りたいわけじゃない。でもあなたに惹かれていってしまう…

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テーマ:小説 > 恋愛

2016/11/18 12:43:48

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去年のコートを一年ぶりに羽織った真尋は、 とっさに顔をしかめた。

肩の辺りがキツイ。

中に着ているワンピースも去年と同じものだから、 着ぶくれしているのではなく、 自分の贅肉が増えただけだろう。

(やだな…)

楽しみだった外出が、一気に憂鬱に思えてきた。

これから会う友人とも、ほぼ一年ぶりの再会だ。

自分では気づかずに過ごしてしまった変化に、 気づいてしまうかもしれない。

「どうした?」

鏡の前でため息をついていた真尋に、 声を掛けてきたのは、夫の慎司だ。

「出かけるんだろう?」

行くならさっさと行けばいい、と言わんばかりの口振りだ。

元々夫は、自分の休日に妻が用事を作り、出かけるのを好まない。

「あ、うん。もう行くんだけど…このコートどうかしら。 変じゃない?」

自分では肩の違和感があり、見た目も不格好に思える。 慎司は申し訳程度に、真尋に一瞥をくれてから、言う。

「新しく買ったのか? 悪くないと思うぞ」

再び溜め息が零れ落ちそうになる、夫の言葉だった。

去年、何度も着ていて、共に出掛けたこともあったのに。 真尋がふざけ半分で、このコートの袖を、 慎司のブルゾンに絡めたことも。

「……」

深く考え、無駄に傷つくのはやめよう。 夫は、そうした真尋との記憶の一切合切を忘れているわけでは、きっとない。

ただ、女性の髪型とかメイクとか服装などに、 全くといっていい程、興味がないのだ。

「ありがと。でも、やっぱり今日はあったかそうだから、 こっちにするわ」

落胆を夫に気取られるないよう真尋は笑顔で云うと、 今年新たに買ったジャケットを、ハンガーから抜き取った。

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