テレーゼさんのブログ

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何事もなかったかのよう

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テーマ:小説 > 官能小説

2016/11/17 17:07:45

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車を降りようとすると、徳が強く腕を掴んだ。


どうした?

本当は分かっている。
どうしたいのか。

......待って......

徳がポケットを弄る。

はい。

そして小さな箱を差し出す。

......受け取れ?

中身が予測できた。
受け取りたくない。

うん。

目の前の小さな箱を見つめる。

ん......

手の上に乗せられた。

とりあえず開けてみる。

......これはダメじゃない?

小さなリング。
しかもピンキーリング。

受け取りたくないかも......

証拠はいらない。

......ダメ?

.....うん.....

どうしても?

.....だって私達の関係があからさまになるでしょ?

.....ダメなの?......

ダメだね。

......そうだね.......

そう言うと徳は箱を窓の外に投げ捨てた。

......徳......

子どもか?!
車から降りて箱を拾う。
そして徳の手に返す。

こうしたって何も変わらない。
私達はこれからもこのまま。
何か必要な訳じゃないの。
会えればそれでいいの。
あなたが私を必要としてくれれば、それで満足なの。

たたみかけるように話す。

私にとってあなたがいなくなる事が一番怖いの。
その証が欲しいわけじゃないの。
会ってくれればそれでいいの。
分かって。

まっすぐ徳を見つめる。

徳の目には涙。
今まで見たこともない表情。

一体何があったの?

徳は話そうとしなかった。

ねぇ....
少し時間が必要?
なら会わないけど。

徳が私を見た。
何かにすがりつくような瞳だった。

.....イヤだ.....

振り絞るような声。
でも、ここで情けをかけるわけにはいかない。

じゃあ、落ち着いたら連絡して。
絶対逃げないから。
必ず、会いに来るから。
いい?

徳を見つめる。

.....分かった。

そう言うと大きなため息をひとつ。

車から降りて歩き始める。
本当は今すぐ抱きしめてあげたい。
ずっと一緒にいたいと言ってあげたい。

でも、それでは元もこうもなくなる。

心を鬼にして立ち去るしか選択ができなかった。

『ごめん。困らせるつもりじゃなかった。』

徳からのメール。

『分かってる、大丈夫だよ。』

こう返すので精一杯だった。

いっそ、何もかも捨てて徳を選ぶ事ができたなら、こんなに苦しい思いもしなかったのかもしれない。
でも、これが私の選んだ道。

迷わない。
迷っても、迷わない。

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