Hypnotic

17歳の寄り道。

  • 記事数 246
  • 読者 1669
  • 昨日のアクセス数 2328

118 先生 14

しおりをはさむ

テーマ:小説 > 恋愛

2016/11/13 20:43:32

  • 133
  • 0

生徒はもう帰っていて、教室には誰もいなかった。古びた椅子を引いて腰を掛け、机に肘をつく。
白川は、しおらしく昨日の礼を述べた。

「あれでよかったのかなと、帰り道考えたんだけどね。俺の対応は合ってたのかなって」

もし、俺の欲情云々言ってられない、深刻な話だったら、昨日の俺は白川を見捨てたことになるが…
酷く抽象的な俺の物言いに、白川はぽかんとしながら、静かに答えた。


「…合ってたと思うよ。寂しくなって電話しただけだから…」

彼女は俯き、きれいな髪が柔らかく揺れた。

寂しさ、か。

また頭を撫でてやりたくなったが、頬杖をやめた手を自分の膝の上に置き直した。


白川は、義父と母の話を、まとまらない様子であれもこれもと話し出す。話の大半は、どこの家庭でもよくありそうな日常の話だったが、義父に脱いだ下着を見られているということや、性を匂わせる発言だけは心配になった。


「私ばっかり話してるね。きいてくれてありがとう、先生」

一頻り話し終えた彼女は、すっきりした笑顔を俺に向ける。現に小一時間は話し続けていて、罪滅ぼしができた気がしていた。

そして俺も、話したくなった。


「じゃあ、ひとつだけ俺も話そうかな」

俺がそう言うと白川は、大きな瞳を輝かせてねだるように見入ってきた。


教師になった経緯と、昨日の山家さんの電話。
いよいよ念願の地に戻れる喜びで浮かれていた俺は、生徒相手に洗いざらい話した。
さっきまで輝いていた白川の瞳が翳ったことにも気付かずに。


「やめちゃうの?先生を…」

「そうなるね。でも俺みたいな人間より、いい先生が来ると思うよ」

「会えなくなるのやだよ。天文部もせっかく入ったのに…」

寂しげに言うが、その言い草が引っかかり、大人げなく指摘をする。


「白川は俺目当てで入ったんじゃないでしょう。浅野だろ?」


すると白川は、困ったような顔をして俯いた。その表情は可愛らしく、俺の胸を素直に擽った。

同じテーマの記事

コメント0

しおりをはさむ

関連するブログ記事

  1. 75

    10/21

    「先生…昨日はありがとう…」一番伝えたかった礼を述べた。...

    Hypnotic

    • 164
    • 0
  2. 45

    10/15

    昼休みに、村上先生に入部届を出しに行った。「はい。確かに...

    Hypnotic

    • 98
    • 0
  1. 76

    10/21

    村上先生は、私にばかり秘密を話させているから、自分も話したく...

    Hypnotic

    • 140
    • 0
  2. 白川との出来事があった翌日から、また浅野は休むようになった。...

    Hypnotic

    • 127
    • 0

このページのトップへ

GIRL’S TALKにログインする

Ameba新規登録(無料)はこちら

1/24 編集部Pick up!!

  1. 子供が発熱しても飲みに行く夫
  2. 宗教の理由で彼両親が結婚に反対
  3. 交際半年で唐突に別れ告げられた

人気ブログ記事ランキング

  1. 1

  2. 2

  3. 3