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卒業後の千晴と藤田先生編

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テーマ:小説 > 恋愛

2016/11/13 20:43:32

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生徒はもう帰っていて、教室には誰もいなかった。古びた椅子を引いて腰を掛け、机に肘をつく。
白川は、しおらしく昨日の礼を述べた。

「あれでよかったのかなと、帰り道考えたんだけどね。俺の対応は合ってたのかなって」

もし、俺の欲情云々言ってられない、深刻な話だったら、昨日の俺は白川を見捨てたことになるが…
酷く抽象的な俺の物言いに、白川はぽかんとしながら、静かに答えた。


「…合ってたと思うよ。寂しくなって電話しただけだから…」

彼女は俯き、きれいな髪が柔らかく揺れた。

寂しさ、か。

また頭を撫でてやりたくなったが、頬杖をやめた手を自分の膝の上に置き直した。


白川は、義父と母の話を、まとまらない様子であれもこれもと話し出す。話の大半は、どこの家庭でもよくありそうな日常の話だったが、義父に脱いだ下着を見られているということや、性を匂わせる発言だけは心配になった。


「私ばっかり話してるね。きいてくれてありがとう、先生」

一頻り話し終えた彼女は、すっきりした笑顔を俺に向ける。現に小一時間は話し続けていて、罪滅ぼしができた気がしていた。

そして俺も、話したくなった。


「じゃあ、ひとつだけ俺も話そうかな」

俺がそう言うと白川は、大きな瞳を輝かせてねだるように見入ってきた。


教師になった経緯と、昨日の山家さんの電話。
いよいよ念願の地に戻れる喜びで浮かれていた俺は、生徒相手に洗いざらい話した。
さっきまで輝いていた白川の瞳が翳ったことにも気付かずに。


「やめちゃうの?先生を…」

「そうなるね。でも俺みたいな人間より、いい先生が来ると思うよ」

「会えなくなるのやだよ。天文部もせっかく入ったのに…」

寂しげに言うが、その言い草が引っかかり、大人げなく指摘をする。


「白川は俺目当てで入ったんじゃないでしょう。浅野だろ?」


すると白川は、困ったような顔をして俯いた。その表情は可愛らしく、俺の胸を素直に擽った。

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