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904 隣のおばさんが

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テーマ:雑感 > 人間関係

2016/11/10 16:39:12

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外は風があって寒い。
目当ての場所は込み入ったオフィス街、車はやめて電車で向かった。
ラッシュはとっくに過ぎてはいるものの、それほど空いているわけでもなく、流れに任せて、中程まですすんだ。
つり革につかまって、目の前に座っている親子連れを、見るともなく見ていた。

永遠と初めて電車に乗った時の事、倍以上の時間をかけた、短い旅。
電車では、ドア部分で、顔をくっつけんばかりに外を眺めて飛んでいく景色に興奮してた。
街を歩けば、行き交う車を見て、同じものを自分のバックの中から見つけ出しては、解説付きのその場での実演。

そしてやっと着いた洋平の事務所で小春に会った。
小春ちゃん、今頃どうしてるんだろう。
嫌味を山のように言ってから、そのあと確か、動物園に行ったんだっけか。

その時

『チョットあなた、ほら、靴を脱がせないと。』

隣にいた、私よりもおばさんらしいおばさんが、私のコートの裾をパタパタ叩きながら言った。
うん?

『あ、すみませんを気がつかなくて。』

『気がつかなくてじゃないわよ。常識でしょ。これだから最近のお母さんは。』

私のコートなんだ。黒の薄手のウール。
子どもの靴をがそれに触れていたんだ。電車だから、何かに触れていても、余程でなければ気にしなかったのだけれど、そういう事ね。

『大丈夫ですから。それほど汚れてはいませんから。』

子どもの靴を脱がせながら

『本当に気がつかなくて、すみません。』

困った顔のお母さん。子どもはキョトンとされるがまま、そしてまた、窓に目を向けた。景色が面白いんだよね。

隣のおばさん、私の事を気にしてくれたのか。
ありがたい事です。
そのおばさんにも、

『お気遣いありがとうございます。』

そうお礼を言ったのだけど言うわ言うわ。

『こんな当たり前の事が気がつかないなんて、常識ってないのかしらね、
自分は綺麗にしてるのに人が汚れる事には無頓着。まったくどうなってるのかしらね。』

『もう大丈夫ですから。そんなに汚れなかったし。気がつかないくらいですから。』

『ダメよ、その時に言ってやらないと。
言わなきゃわからないんだから。』

言われるたびに身を竦ませるような母親が、少しばかりかわいそうに見えてきた。
この次は気をつけるだろうと思う。
母親と目があった時、うん、と頷いて見た。笑顔付きで。
申し訳なさそうに、頷き返してくれた。

それから私が先に降りたので、その後のことはわからない。でもできれば、隣のおばさんが、降りてくれたらいいなあと思ったのだ。

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