ブログランキング67

Fictions

東野君のオフィスラブ。

  • 記事数 392
  • 読者 2070
  • 昨日のアクセス数 5430

テーマ:小説 > 恋愛

2016/10/19 23:53:40

  • 168
  • 0

誰か、優しくして。大丈夫だって言って。
気にし過ぎだよ、考え過ぎだよって、抱きしめて。


コール音が3回鳴り、無音になった。
その静寂を打ち消す様に呼びかける。


「もしもし、もしもし、村上先生…」

『はい……白川か?どうしたんだ?』

「せ…先生っ、今どこ…?」

『家に帰る途中だけど―…何かあったのか?』


何もないと言えば、ないのだろう。
義父の発言など、私の気にし過ぎなのだろう。
けれど今、心がすごく疲れて、氷のように冷たくなっている。

遥に満たしてもらっても、私だけを見ているわけじゃない。
その遥は、今どこで何をしているかわからない。


「先生…っ…先生…」

頬には涙が伝い落ち、先生の名を呼ぶだけの私を、電話越しに落ち着かせる先生。

『ちょっと、落ち着いて…』


遥に限らず、村上先生だって私を愛しているわけじゃない。

ただ、寂しくて、一人ではいられない。


「先生………会いに来て………」


子供のように泣く私に、村上先生は押し黙る。


『行ってやりたいけど……問題だろ、いろいろと…』

一般論で返されて、我に返った私は赤面した。


「そう…だよね………ごめんなさい……」

悲劇のヒロインになっていたのが恥ずかしくて、スマホを持つ手が震える。


『白川?』

「あ、いいの…今から、洗濯物干さないといけないし、……ごめんね、先生…。会いに来てなんて嘘だから……何も、ないから」


何もなかったかのように取り繕おうとしたら、村上先生は『夜干すの?』と言った。

母が働いているからか、晴れていれば夜干して朝取り込むのが我が家の通常だったのだ。


「うん、庭で…」

『家、出れるなら寄りますよ。ちょっとだけだけど』

予想外の事に、胸が熱くときめく。


「ちょっとでいい、ありがとう、先生…」

村上先生は、時間を指定してくれた。
唐突で非常識で、自己中な生徒の願いを聞いてくれた。


私は晴れやかな気持ちで洗濯物をかごにいれて、暗くなった庭に出た。


家族には村上先生が来ることも、何も言わない。いつものように洗濯物を干しているだけだから、誰も気にしていない。

猛スピードで干し終えて、サンダルのまま道路まで出たら、先生の車らしきライトに照らされる。

眩しい…

やっぱり村上先生の車だった。

同じテーマの記事

コメント0

しおりをはさむ

関連するブログ記事

  1. それから、数日後、先生から着信が鳴る。私『もしもし?先生...

  2. 226

    12/21

    一人、闘志を燃やしていると「…吉田先生」控えめなノッ...

  1. 先生。。何かあったのかな??あんな先生の声、初めて聞いた...

  2. 密会

    2015/03/26

    爽やかな風だったけど、やはり夜風。少しづつ身体が冷えてきた...

このページのトップへ

GIRL’S TALKにログインする

Ameba新規登録(無料)はこちら

3/27 編集部Pick up!!

  1. 出会い系が原因で彼と別れた
  2. 高価なアクセを貰い手が震える
  3. 1時間以上も叫び声が聞こえる

人気ブログ記事ランキング

  1. 1

  2. 2

  3. 3