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卒業後の千晴と藤田先生編

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テーマ:小説 > 恋愛

2016/10/19 23:53:40

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誰か、優しくして。大丈夫だって言って。
気にし過ぎだよ、考え過ぎだよって、抱きしめて。


コール音が3回鳴り、無音になった。
その静寂を打ち消す様に呼びかける。


「もしもし、もしもし、村上先生…」

『はい……白川か?どうしたんだ?』

「せ…先生っ、今どこ…?」

『家に帰る途中だけど―…何かあったのか?』


何もないと言えば、ないのだろう。
義父の発言など、私の気にし過ぎなのだろう。
けれど今、心がすごく疲れて、氷のように冷たくなっている。

遥に満たしてもらっても、私だけを見ているわけじゃない。
その遥は、今どこで何をしているかわからない。


「先生…っ…先生…」

頬には涙が伝い落ち、先生の名を呼ぶだけの私を、電話越しに落ち着かせる先生。

『ちょっと、落ち着いて…』


遥に限らず、村上先生だって私を愛しているわけじゃない。

ただ、寂しくて、一人ではいられない。


「先生………会いに来て………」


子供のように泣く私に、村上先生は押し黙る。


『行ってやりたいけど……問題だろ、いろいろと…』

一般論で返されて、我に返った私は赤面した。


「そう…だよね………ごめんなさい……」

悲劇のヒロインになっていたのが恥ずかしくて、スマホを持つ手が震える。


『白川?』

「あ、いいの…今から、洗濯物干さないといけないし、……ごめんね、先生…。会いに来てなんて嘘だから……何も、ないから」


何もなかったかのように取り繕おうとしたら、村上先生は『夜干すの?』と言った。

母が働いているからか、晴れていれば夜干して朝取り込むのが我が家の通常だったのだ。


「うん、庭で…」

『家、出れるなら寄りますよ。ちょっとだけだけど』

予想外の事に、胸が熱くときめく。


「ちょっとでいい、ありがとう、先生…」

村上先生は、時間を指定してくれた。
唐突で非常識で、自己中な生徒の願いを聞いてくれた。


私は晴れやかな気持ちで洗濯物をかごにいれて、暗くなった庭に出た。


家族には村上先生が来ることも、何も言わない。いつものように洗濯物を干しているだけだから、誰も気にしていない。

猛スピードで干し終えて、サンダルのまま道路まで出たら、先生の車らしきライトに照らされる。

眩しい…

やっぱり村上先生の車だった。

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