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恋〜いつか出逢ったあなた〜

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2016/10/19 17:42:18

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「おかえりなさい。」

玄関のドアが開いて、あたしがそう言うと。

「…相変わらず耳がいいな。」

一瞬、あたしの存在に驚いた千里は…笑顔になった。

「自分でごはん作ってくれって言ったのに、忘れてたでしょ。」

千里を見上げながら言うと。

「忘れてねーよ。ただ、ここで待ち構えてるとは思わなかったから、驚いただけだ。」

そう言いながら靴を脱いだ千里は。

「ただいま。」

あたしの頭をポンポンとして…廊下を歩き始めた。

「……」

ポンポンとされた頭に手を置いてみる。

今までは…すぐにギュッとされて…首筋にキスとかされて…

とにかく『濃厚』だったから…

反対に、こういうさりげないの、すごくドキドキしちゃう。


「里中さん、今日も厳しかった?」

向かい合って『いただきます』をして、そう問いかけると。

「今日は映しか怒鳴られなかったな。」

千里は汁椀を手に『そう言えば』みたいな顔で答えて。

「…美味い。」

お味噌汁を一口飲んで…言ってくれた。

…嬉しいな。


「里中は、耳もだが…全体の音を捉えるセンスに長けてるな。」

…珍しいな。

千里が人を褒めてる。

しかも里中さん。

あたしがオタク部屋に通う事で、あまり里中さんにいい印象は持ってないかなって思ってた。

だからこの前、里中さんから『神に呼び出されてマンションに行った』って聞いた時、すごく驚いた。

…今日、里中さんに怒鳴られなかった…って事は、調子良かったのかな…?


「…知花。」

食事を終えて、今日は千里に何かを言われる前に、あたしが洗い物を始めた。

それも終えて…帰り支度…んー…もう少しここにいたいな…って思ってると…

…抱きしめられた。

「…ん?」

「…どうも俺は…」

「うん…」

「9歳以前の記憶がないらしい。」

「………えっ?」

驚いて、千里から離れた。

「…思い出せないんだ。」

「……」

千里の腕を持ったまま、しばらく…見つめ合った。

だけど…

「…思い出せないなら、そのままでもいいんじゃない?」

あたしは…そっと千里の頬に触れる。

「何かあったのかも…って思うと、知りたくなるかもしれないけど…昔の事なんて、いいんじゃないかな。」

「……」

あたしの言葉に千里は無言…

伏し目がちになって…そして、ゆっくりと目を閉じて…

まるで、今のあたしの言葉を自分に言い聞かせるみたいに、体の中でため息をついてるように思えた。

…自分の過去だもん…

知りたいって思うのは当然だよね…

それを、知らなくていいって言い方して…悪かったかな…


「それに、頭のいい人は必要な情報を入れるために、昔の余計な事は忘れてくって聞いたことがあるよ?」

「…ふっ…俺はそんなに頭は良くない。」

あ、笑ってくれた。


…いいんだよ…千里。

辛い過去なんて、思い出さなくても…いいんだよ…。

何かキッカケがあって、あなたがナイフみたいな人になったんだとしても…

あたしには、ちっともナイフなんかじゃなかった。


「…明後日…楽しみ…」

千里の胸に顔を埋めてつぶやくと。

「…緊張して来た…」

千里が…

すごく、らしくない声で言った…。

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