ブログランキング77

恋〜いつか出逢ったあなた〜

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

  • 記事数 3368
  • 読者 722
  • 昨日のアクセス数 3568

テーマ:小説 > 恋愛

2016/10/18 18:05:21

  • 81
  • 0

祖父は絶句した。

ちーが言いにくそうに『ポケット…』って言って、祖父がちーの半ズボンのポケットを探ると。

そこには…

『身代金五千万円、現金で。段ボールに入れて今からすぐ桜花幼稚舎体育室に置け。警察ダメ。見張ってるぞ』

と書いてある用紙が入ってた。

僕は祖父の手元でそれを読んで、祖父の顔を見上げた。

…身代金…

これって…誘拐だよね?


「…なっ…」

祖父の後ろで祖父の執事の篠田さんが『大臣…警察を…』と小声で言ったけど。

祖父はそれを拒んだ。

…通産大臣の孫が誘拐されて、身代金を要求されてるなんて…

マスコミの大好物だ。

そんなの、万が一ニュースにでもなったら…

千幸は生きて帰って来れない。


幸介はずっと青い顔をしてて。

『次は僕の番かも…』なんて、ブツブツ言ってる。

僕らが家を出る時、まだ帰ってなかった幸太の身を案じて。

祖父の家から手の空いてる運転手が塾まで迎えに行った。

両親は飛行機に乗った頃かもしれない。

このままだと、何も知らないまま帰国する事になる。

篠田さんが連絡を取ろうとしてくれたけど、『連絡を取った所で飛行機のスピードが上がるわけじゃないから、機上の者にわざわざ心配事を伝えなくていい』と祖父が言った。

…確かに…

飛行機の中でそんな事を聞いたら…

僕なら飛び降りてしまいたくなると思う。

それで家に帰れるわけがないのに。


「千里、千幸をどこで見た?」

祖父の問いかけに、千里は…

「跳び箱のある倉庫。」

目をウルウルさせながら答えた。

「…そこには、他に誰かいたか?」

「ううん…二番目兄ちゃん…後ろで手を縛られて…寝てた…」

「…おまえは、一緒にそこに行った男の顔を見たんだな?」

「……見た…見たけど…」

「見たけど?」

「…大きなお鼻のついたオモチャみたいな眼鏡、かけてて…そんな人が、いっぱいいたの…」

「……」

みんなが息を飲んだ。

「…篠田、すぐに現金を。」

「ですが大臣!!」

「早く用意しろ!!」

「…は…はい…」

「坊ちゃま達はこちらへ…」

僕と幸介はハチさんとたきさんに、別の部屋に連れて行かれる事になった。

本当は千里もだったけど…

祖父が千里を抱きしめたまま、離さなかった。


僕はその時初めて…千里に嫉妬した。

僕でもない、幸介でもない…

篠田さんでも警察でもない…

祖父は…

千里に、助けを求めてるような気がしたからだ…。

同じテーマの記事

コメント0

しおりをはさむ

このページのトップへ

GIRL’S TALKにログインする

Ameba新規登録(無料)はこちら

12/4 編集部Pick up!!

  1. 未婚に祝ってほしい新婚女性
  2. 礼服を着て出社しようとする夫
  3. 出産当日は家族総出で来るらしい

人気ブログ記事ランキング

  1. 1

  2. 2

  3. 3