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Hypnotic

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テーマ:小説 > 恋愛

2016/10/16 17:04:22

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村上先生は河川敷に着いたら、傍で見つけた自動販売機でジュースを買ってきてくれた。

「よかったね、落ち着いて。少し焦りましたよ」

先生の、敬語とタメ語が混じる所が可愛らしいと思う。偏屈というのがぴったりの風貌だが、中身を知るとそういう所も魅力的にうつる。


「先生、お義父さんがね、私がお風呂に入ってる時に、パンツ見てたの…脱いだやつ。どう思う…?」


目に涙を溜めながら打ち明けたが、本当は母に言いたいことだった。
先生はつらそうにため息をつく。

「お母さんには言った?」

「言えなかったよ…。お義父さん、『こんなに汚して』って言ってたの。あと、公園でも変な人に襲われかけて、それも言えなくて…」

「いつ?」

「この前…。でも、お母さんには言わないで」

先生は、切なげに私を見つめた。


「誰にも言わない。聞くだけに留めておくけど…でも、どうにかしてほしかったら言って下さい。必ず、何とかするから」

涙をこぼしながら、こく…と頷く。


「大人が何てことするんだ…」

過呼吸になるほど、心身にダメージを受けていたのは事実だ。
苦悶に満ちた先生の心配が嬉しかったが、一方で、自己嫌悪にもなった。

淫乱な自分も確実に存在しているからだ。

こんなに純粋に心配してくれている村上先生を、私は体を疼かせながら見つめていたからだ。



村上先生は、どんなふうに女性を抱くのだろうか。どんなセックスをするのだろう。
好きになってくれなくてもいいから、その時の顔を、一番近くで見たい。


浅野君しかいないと確信していたはずの心は、ふわりと舞う。


「……村上先生。もう一回、さっきみたいにして?」

片手で抱きしめてくれたことを言うと、村上先生はすぐに断った。


「もう、具合も悪くないのにできないよ」

「……ぎゅってしてくれたら、家でも幸せに過ごせるから」


上目遣いで村上先生の瞳を覗き込み、体を寄せて胸を押しつける。色仕掛けでも、先生の気を引きたい。

村上先生は抵抗しきれず私の体を抱きしめ、私の耳元で「誰にも言うなよ」と告げた。


「言わない。先生も…誰にも秘密だよ」

先生の顎にちゅっとキスをする。見上げると村上先生はいろんな感情が混ざったような顔をしていた。

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