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Hypnotic

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テーマ:小説 > 恋愛

2016/10/16 16:27:15

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しかし、いくら私がムラムラとしても、先生は立場もあるし大人の男。私のことなど、歯牙にもかけないのは目に見えている。


「あー、確かに歩いたら遠いかな…」

「先生、担任なのに住所覚えてないの?」

「すっげ遠い奴なら覚えてる。東野とか」


東野君、遠いんだ。なのに毎日部活して偉いなぁ…
先生の隣はすごく居心地がよくて、以前感じた安心感は継続中。
へたすると眠ってしまいそうなほど、瞼を閉じると夢の中に引き込まれそう。


「すぐ着くよ。寝ないでね」

「はい…」

車だと家なんてすぐだ。部屋に掛け込めば、義父と会わないで済むかな…



考えていると不安が募り、息が苦しくなってきた。息を吸っても苦しい。


「先生、…苦しい……」

息苦しさに、喘ぐように伝えたら、村上先生はコンビニに車を停めた。

「大丈夫?やっぱり具合悪いんじゃない」

「う…うう…」

「苦しいのか?これ、過呼吸だな」

先生は、私の背中をゆっくりと擦る。まだ軽くパニック状態の私を、片手で抱き寄せるようにして。


「落ち着いて。白川。ゆっくり息するんだよ。少しすれば、元に戻るから」

浅野君もそう言っていた…


苦しさのさなか、村上先生の胸の中でゆっくりと息を吐いていると、少しずつ手の感覚が戻ってきて、頻脈も治まってきた。
流れていた涙は乾いてきて、村上先生のスーツに頬を当てて縋りつく。


「村上先生、お母さんと、弟が帰ってくるまで一緒にいて……」

「白川…」

私を抱き寄せている方の先生の手が、ぎゅっと力が籠ったかと思えばするりと離れ、私を解き放つ。


「分かりました。少しここから離れよう」


村上先生はナビを切り、河川敷まで車を走らせた。

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