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ヒプノティック

下書き。千晴編。

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テーマ:小説 > 恋愛

2016/10/16 15:52:10

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「あっ、自転車で学校来てたんだ」

「そうなの、歩くと遠いから…。秘密にしてね」


普段通りに笑顔で振舞ったが、東野君はとても心配そうに私の瞳を覗き込む。

「顔色悪いよ?帰れる?」

「うん、大丈夫…」

私の冷や汗を見て、「大丈夫じゃないでしょ。誰か先生呼んでくるよ」と、走って行ってしまった。


ふっと意識が遠のき、ぐったりと座り込む。
少ししてから、何人かの足音が聞こえてきたが、目を開けられなくて、誰かに抱きあげられたのが最後の記憶だった。







目を開けたら………


白いシーツと、自分の手が見えた。


「気がついたか」
ベッドの脇に座っていたのは村上先生。それで、ここが保健室だということがわかった。


「あれ…私」

「自転車通学は俺の胸にだけしまっておくから。明日からは歩いてきなさい。それより、具合はどうだ」


村上先生は白衣のボタンを外しながら、気難しい顔をしている。


「具合は大丈夫です。今…何時ですか?」

「18時だよ。今日は車で送るから、自転車は置いて帰りなさい。明日は朝から歩いて登校しなさい。いいな」

え~っ、と反論しそうになったが、これだけ迷惑かけておいて言えない。
東野君は村上先生を呼んだ後、今は部活に戻っているらしい。


「つうか、俺もさっさと帰りたいんだよね。白川送るのに便乗して帰れる」

先生の違った思惑が見えて苦笑した。ちゃっかりしてるなぁ。
果たして、私は先生の車に乗って帰ることになった。


暗くなった駐車場まで村上先生と歩いた。
白衣を脱いだ先生が、助手席に座るように指をさした。


「おじゃまします…」

先生のプライベートの空間に入るのは、やっぱりちょっと緊張する。それに、運転席と助手席の間は、わりと近いんだな。


「白川んちはー…。どこだっけ。ナビ入れていい?住所言って」


行き先を設定する先生に近づいて、一緒に小さな画面を見て、住所を告げる。先生は復唱しながらきれいな指を動かして入力していった。

ふわっと先生の匂い、家の匂いがして、ズクンと胸が疼く。
暗いのもまた、どこか本能的な気分を煽った。

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