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恋〜いつか出逢ったあなた〜

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2016/10/11 09:46:15

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ほぼ無言だったけど、全然…苦痛じゃない買い物をして…

マンションに帰り着いてキッチンに立ってると、着替えて来た千里が隣に立った。

「…何か手伝う。」

「…練習、ハードだったんじゃない?いいよ。座ってて?」

「…手伝いたい。」

「……」

千里…

変わろうとしてくれてるんだ…

もうすぐライヴで、あたしの事なんて構ってられないはずなのに…

…はっ…

もうすぐライヴ!!

「お願い…休んでて?もうすぐライヴだし…」

あたしが包丁を手にしたまま言うと。

「…脅しか?」

千里は目を細めた。

「あっ…ちち違う…ごめん…」

慌てて包丁を置いて。

「…もうすぐライヴなのに…余計な気を使わせて…ごめんなさい…」

あたしは…小さくお辞儀した。

すると…

「…どうして謝る?」

千里の低い声が…降って来た。

「だって…」

「……」

「……」

「…腹減った。」

「あ…うん…すぐ作るから、お願い…座ってて?」

あたしが再びそう言うと、千里は少し間をおいて…ソファーに座った。


それからあたしはダッシュで料理をして。

やっぱり…今も違和感だけど、テーブルに向かい合ってお皿を並べた。


「……」

並んだ料理を見て…千里が少し息を飲んだ気がした。

あたしが作ったのは…

リクエストのあった、きんぴらごぼうと、ホウレン草の白和えと…

サバの味噌煮と肉じゃが。

初めて…千里に食べてもらった、あたしの料理。

…覚えてるかな…


どうしてこれを作りたくなったのかは分かんないけど…

すごく好き嫌いが多いって聞いてた千里が…

あの時、残さずに全部食べてくれた事。

あたし達は…まだ偽装結婚をするっていう、同志な関係ってだけだったのに…

すごく、嬉しかったのを覚えてる。


「いただきます。」

千里がそう言って手を合わせた。

「…いただきます。」

あたしも同じようにして…お箸を手にする。

「………」

千里は静かに食べ始めて…口にしては目を閉じる…その繰り返し。

元々千里は無口な方だし、うちで食事の時は…子供達が喋ってて、それを聞いてるだけ。

だからこうして二人で食べると、当然…沈黙。

だけど全然嫌じゃない。

息も詰まらない。

だって、この沈黙も…

あたしと千里の時間だから。


「…美味い。」

黙々と食べ進めてた千里が、すごくしみじみと言ってくれて…

あたしは…

「あ…」

胸がいっぱいになってしまった。

「ありがと…」

「…これが毎日食えてたのに、当たり前に思ってた俺がバカだったな。」

千里は…ずっと、あたしと目を合わさない。

それは仕方がない…って、分かってる。

だけど…寂しかった。

寂しかったし…

そんな事を言わせた自分を責めたくなった。

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