叶わない片思い。

結婚式前夜、私の片思いが始まった。

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テーマ:小説 > 恋愛

2016/10/10 02:07:18

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突然の質問に一瞬戸惑った。
藤原さんは私に視線を向けて、また
信号に戻す。

「いや、前に…予定だったって
話してたから。
でも指輪はしてるし…気になってて」


いつかされる質問だとは思っていたけど
こうして2人きりの空間だと
気まずい。
なんて、答えたらいいのだろう
私は左手の指輪を右手で触り
言葉を探していた。

「…ごめん。
言いたくなかったらいいんだけど」

藤原さんは私の様子を見て静かに微笑み
信号が青になったタイミングでアクセルを
ゆっくり踏んだ。


「婚約者がいたんです。もう、亡くなったんですけど…」

「え…?」

藤原さんの顔は見れないまま、窓の外の夜景が流れる光を眺めながらゆっくり紡ぐように話した。

「結婚式の前日に、突然の事故で…
入籍も式のあとにする予定でした」

藤原さんは沈黙のあと、言葉を選ぶようにポツリと返事をした。

「…そうか。ごめん、そんな辛いことを言わせて…」


「いえ、言いたくなかったわけじゃないんです。ただ、暗くさせちゃうかなと思って」

私はやっと藤原さんの方を見て笑った。

「その、指輪は彼との?」

「…ええ。大切な思い出だから、外せなくて」


藤原さんは前を向きながら
それ以上は何も言わなかった。
私は彼の横顔を見て隼人を思い出してしまう。


隼人が生きていたら
どんな顔をしていただろう。

だんだんと声が思い出せなくなって
それが嫌で、何かにしがみつくみたいに
指輪に依存してる。





隼人





怖いのは思い出が消えることじゃない
あなたの姿や形が私から
消えてしまうこと


どうか
私から消えないで

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