惹かれ合うまで‥②
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2016/10/04 09:15:58
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「ありがとう…ございます」
あたしはこれ以上、頑なに断るのも逆に失礼かと思い、悠月の言葉に甘える事にした。
「そう言えば…いきなり一緒にココで暮らす…って話になったけど…荷物類とか大丈夫だった?」
「え、あ…元から荷物が少ないので…心配はないです。 あっ…強いて言うなら、メイク道具を産みの母の家族が住んでる家に置いて来たくらいで…」
「メイクならオレが持ってる道具を気軽に使ったらいいよ 。」
「えっ?」
「トータルビューティーサロンのマイスターは、メイクも心得てるからね≪ニコッ」
「ありがとうございます」
あたしは、悠月に微笑みながらお礼を言った。
「…にしても、りあさん化粧映えしそうな顔してるよね。今度、メイクさせて?≪ニコッ」
「そ…そんな事ないですよ。…ってか‥逆にメイクして貰っちゃっていいんですか?」
目をキラキラさせながら悠月に問うと、 あたしの髪を梳いて、微笑んで頷いてくれた。
しばらく2人で話をしてると、悠月のスマホが『ポーン』っと鳴った。
悠月がスマホをチェックすると、“もうそんな時間か…”っと呟いてから簡単に返信をし、
「りあさん、ダイニングに移動するから、掴まって?」
「…えっ?」
あたしは、何でダイニングに行くのか分からないまま悠月の首に両腕を回して掴まると、悠月はあたしをお姫様抱っこをし、ダイニングへと移動した。
『ガチャ』っとダイニングへと続く扉を開けると、
「おっ。来たな。早く座れよ。」
「ああ…。」
悠月が返事をすると、テーブル席の方に移動し、ゆっくりとあたしを椅子に下ろし座らせてくれた。
「…あ、あの…??」
訳が分からず首を傾げてると、悠月が隣に腰を掛けるのと同時ぐらいに、テーブルの上に料理が運ばれて来る…。
「もぅすぐ晩飯だから…。もうちょっと待ってろ…」
声のする方に顔を向けると、クマ柄エプロンを着けて料理をテーブルに運んで居る彩月がいた。
「さ…彩月…さん…?」
「あんだよっ?」
「な、何で…エプロン姿…??」
あたしが更に首を傾げてると、
「彩月はここの家で料理の責任者的なモンなんだよ。」
隣に座っていた悠月が彩月が答える前に教えてくれた。
「料理の責任者?」
「そ。家の料理担当は、彩月なんだ。まぁ〜正確に言うと、キッチンを料理では使わせない…って言うか…」
「…兄貴、もっと言葉を選んで説明してくれよっ!!」
頬をほんのり紅くしながら、モクモクと料理をテーブルに運んでいる彩月がそう言う。
「まぁまぁ、いいじゃない。お陰であたしは、助かってるんだから…。仕事が忙しいと、家事してる余裕なんてないし…。」
「だな。親孝行してると思えばいい…」
いつの間にか、あたしの真向かいの席に瑛斗と紗聖が座っていた。
「親父、お袋っ!!」
「それに…悠月がトータルビューティーサロンのマイスターになったのがきっかけで、対抗して、フードマイスターの資格を取ったのは、彩月でしょ?」
「…し、仕方ねぇだろっ///兄貴ばっか恰好つけられて…悔しかったんだ…。オレに出来る事で、兄貴に勝てる事って…こんくらいの事しか思いあたらなかったし…。料理すンの嫌いじゃねぇし…」
頬を人差し指でポリポリと掻いて照れを隠そうとする彩月…。
「「「さっちゃん(くん)の料理は、天下一品なんだよ(ぞ)」」」
「お、お前等、揃いも揃って…」
「だってホントの事なんだもん」
「認めなよ、さっくん」
「そうそう」
「…///≪プイッ」
彩月は、空音・穂・ヒカリの3人に冷やかされ、ソッポ向いてそのまま配膳を続けた。
「……あ、あのぉ〜彩月さん…あたし…夕飯は、ちょっと…」
せっかく準備をしてくれてるので言い難くかったが、食べれないのにあたしの分の夕飯を用意して貰うのが心苦しくて、決心して伝えると、彩月は聞こえて無かったのか、 黙々と準備をする。
「……;((どうしよ…悠月さんには言ったけど…あたし…晩ご飯は身体が受付ない…;))」
あたしが俯いた状態で居ると、『コトッ』っと1人だけ違う料理が目の前に置かれた。
「…えっ?」
「…胃に優しいスープリゾット…それなら食えるだろ?」
「…あ、あの…彩月さん??!」
「兄貴にりあの身体の事聞いた…。体調に合わせて料理作るのは、オレの担当だからな…。」
「……」
あたしが言葉に詰まると、彩月は『ニヤッ』っと笑ってエプロンを外し、穂の隣に座るとみんなで、『いただきます』をした。
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