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恋〜いつか出逢ったあなた〜

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2016/10/04 17:42:46

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私は目を閉じると、脳裏に焼き付けた早乙女氏を視た。

うっすらと穏やかな光を感じ取れる。

この方は…とても精神の落ち着いた方だ。

それに、多くの愛を持っていらっしゃる。

それは決してあちこちに愛をばら撒くというわけではなく、誰にでも優しさを分け与え、その存在だけで癒す力も持たれている。

きっと、この方の優しさに救われる方も多いのではないだろうか。


何も知らないまま育ち、15の時にその存在はないものとされていたご両親に会い、さらにはヤクザと思わされていた家業が高等警察の秘密機関…

陸坊は、強い精神の持ち主だったが…

多感な時期の織お嬢さんが、どれだけ心をすり減らされた事か。

そんなお嬢さんを癒し、強くしてくださったのは…この方だ。

このような方が増えれば…

世界も幸せに包まれるであろうに…


「…何かお作りいたしましょうか?」

早乙女氏のお酒が少なくなったのを見計らって、声をかける。

「あ、ありがとうございます。じゃあ…」

「マスター、早乙女君のイメージで何か作ってみてくれないかな。」

早乙女氏が何かリクエストしてくれそうだったのに…

頭があまり見せない、目がなくなるほどの笑顔で言われた。

…視た事を怒っておられるのですか?


「…では…」

私は材料を並べ、早乙女氏をイメージしながら…

「こちら、ビトウィーン・ザ・シーツでございます。」

私がカクテルを差し出すと、頭と神氏は口元に手を当ててふき出すのを我慢しておられる様子だった。

「…俺のイメージですか?」

早乙女氏に聞かれ、私は少しだけ微笑んで。

「寝酒のような方だと思いましたので。」

本心で言うと。

「ぶはっ!!早乙女が寝酒って!!」

神氏はついにふき出し。

「…いや、俺は分かる気がします………ふっ…」

分かると言ったはずの頭も…少し笑われた。

「寝酒…」

早乙女氏はグラスを手に、少し目を丸くされたが…

「よく、花に例えたら…なんてありますけど、酒でイメージされたのは初めてです。俺と接した人が心地良く眠れるって、そんなイメージを持ってくださったんですか?嬉しいです。」

そう言って、口にされた。

…本当に、視た通りの人だ。

穏やかで、柔らかい。

そして…人を立てる事を知ってらっしゃる。


「本当は、イメージで作ってくれなんて言われるのは困るんだろう?」

目の前で、神氏が笑いながら言われた。

本来はそうでしょうが…私は視えてしまうがために、それも苦ではありません。

とは言えないので、小さく笑っておいた。


「じゃあ、神さんのも。」

早乙女氏がそう言われたが、神氏は。

「俺はいい。ギムレットが飲みたい。」

…早乙女氏のリクエストを拒否された。

無意識に、自分をイメージされるのが嫌われているのかもしれない。

「どうぞ。」

ゆっくりと神氏にギムレットを差し出し、視線を向ける。

一度顔を見て、それから視線を外して残像を眺めた。

…悲しみ…喜び…怒り…苦しみ…

………孤独。

「……」

つい、もう一度…神氏を見る。


初めてお会いしたのは…私が24歳、氏が9歳の時だった。

深く頭を下げて依頼された。

『どうしても視て欲しい人がいる』と。

その時、私が視た彼…神千里君は、とても純粋で、優しくて…

大変傷付いていらっしゃった…。

依頼者は私の報告に…彼の記憶の一部を消して欲しいとも依頼してきた。


彼との再会は、それから11年後。

神氏は、通産大臣をされていた神幸作氏のお孫さん。

初めて来店されたのは、二十歳になられてすぐの頃。

ご友人の東氏と共に。

彼を見守って欲しい。との依頼を受け、私が入店を許可した。


それからの彼は、時には悲しみも持たれていたが、私が気に掛けるほどではない、むしろ幸せに溢れた感情だった。

…このように、一度にたくさんの感情を溜め込んでおられるのは…



危険だ。

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