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しのぶ

本当の愛は、与えるものでした。

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735 洋ちゃん、ごめん

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テーマ:雑感 > 人間関係

2016/10/03 23:19:57

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その店は浩平の行きつけだったようで、すぐにオーナーがやって来た。

『暫くだったね。忘れられたのかと思ってた。元気でよかったよ。』

『ちょっとね、あっちへ行ってたんだ。』

『あっち?
ああ、本当に行ったんだ。それで今日は?』

『うん、これからまた行く。
それでこれが俺の兄ちゃん、こっちが俺の彼女、見送ってくれるんだって。』

なんて事を、おい!冗談が過ぎる。本気にするだろうが。私が訂正しようとしたら

『お兄さんの奥様ですね。
大変でしょ、この弟は。』

そして、笑われた。なんだこれは?

『お話しはよく伺っています。よろしかったら、おふたりでまたいらしてください。』

浩平め!嬉しそうに笑っているんじゃねえぞ!

それから適当に浩平が注文をしてくれて、中でもポテトサラダが絶品だった。

洋平が呑めないのに、浩平は美味そうにビールを呑んでいる。
洋平の舌打ちが聴こえてきそうだ。

何種類かの料理を、お腹が空いていてのもあって、あらかた平らげて、美味しいソーセージを数種類お土産にした。

出発まであと3時間足らずのところで、空港に着いた。そこでやっと実感が湧く。
また浩平が旅立つ事。

帰りなよ。もう帰っていいよ。そう言う浩平を無視して、特に話すこともなく、そばにいた。
言いたい事を言ったら、同じ言葉の繰り返しになるような気がする。
食べて、寝て、体に気をつけて、そんな事。
そして、義母さんに電話して。

アナウンスが始まる。

『俺、行くわ。』

歩き出した浩平の後を歩く。

くるっと振り向くと

『洋ちゃん、ごめん。』

そう言って私を抱き寄せると、耳元で

『しい、ありがとう。
帰ってくるまで、母さんの事、頼むね。』

そう言って少しばかり長めにおでこにキスをした。
そして振り返ることもなくスタスタ歩いて、片手を挙げたその姿が見えなくなった。行っちゃった。

『チッ、カッコつけやがって。
帰るか。』

洋平が私の腕をとる。
初めて、見送るのって、身の置き所がないと言うか、これでいいのかって、思えた。
なんか忘れ物をしたような気分。

きた道を引き返して、駐車場までまた歩く。
車に乗り込んだ時、見上げた空に一機、白い機体がゆっくりと舞い上がるのが見えた。

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コメント4

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  1. しのぶさん(99歳)ID:5326032・10/04

    マリアさん
    少しだけ、泣きたくなって。

    その思いをうまく伝える事ができない浩平の、やることなす事、イラつくんだけど、どうかで許しちゃう。

    でも似てるのかな、兄弟って。

  2. しのぶさん(99歳)ID:5326031・10/04

    ミナミさん
    大丈夫、きっと頑張って、威張って帰ってくると思います。

    少しだけ、ふざけたヤツで、口下手だからね。

  3. マリアさん(52歳)ID:5325309・10/03

    しのぶさん

    見送るって

    旅立ちだから嬉しいはずなのに…
    切なくなるのは何故?

    こんなシチュエーションされたら
    洋平さんも
    何も言えなくなっちゃうよね

    お兄さんとはお風呂場で語ったんだろうけれど

    しのぶさんとは、なかなか
    話せない、話さない

    そんなところか…

    最後のおでこのキスが
    物語ってるよね…

    おやすみなさい

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