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恋〜いつか出逢ったあなた〜

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2016/09/30 14:46:27

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「…本音を書いて、相手を傷付ける事になるかもしれないと思っても、書くか?」

俺の問いかけに、沙都は少し目を丸くして。

「僕は…偽りを書く方が傷付けるって思いました。」

俺の目を、まっすぐに見て言った。

「ましてや…僕と紅美ちゃんの間には、終わっても偽りは欲しくないって思ってたし…きっと紅美ちゃんもそう思ってくれるって…」

「おまえの勝手な想いじゃなくて、紅美もそう言ったか?」

「…別れた時の辛さを書いた曲を出した後、紅美ちゃんからメールが来たんです。」

沙都は小さく笑うと…

次の収録のセットが始まったスタジオを眺めながら。

「ちゃんと見ててくれて、ありがとう。って。それと、嘘つかないでくれて、ありがとうって。」

少し…嬉しそうな顔で言った。

そんな沙都の横顔を見て…尊敬した。


まだ新曲の歌詞が出来ていない。

少し…行き詰ってる。

俺の気持ちは変わらないとしても、ずっと自分を押し付けて来た俺に…

本音を書く資格はあるのだろうか。

今までのラブソングは、全部知花に書いて来た。

でも、今思えば…それも全てきれいごとだったように思えて仕方ない。


「僕、思うんですけど…」

相変わらず、セットの転換を見ながら沙都が言った。

「ラブソングって、自分の恋愛観を見つめ直させてくれる…自分のための歌でもあるなあって。」

「……」

「そう思ってからは、より自分の本音に近い言葉を並べるようになりました。」


だから…

だから、沙都の歌詞は世界中で共感を得る。

自分の奥底にもあるかもしれない。

いや、存在してる。

そんな気持ちを…ストレートに書いて、みんなにそれを思い起こさせる。

それを思うと…

今までの俺の歌詞は、本音であっても薄っぺらだ。

それが売れてたのは、受け入れられてたわけじゃない。

ただのネームバリューだ。

…何勘違いしてんだ…俺は。


「…勉強になった。」

俺はそう言って立ち上がると、沙都に右手を差し出した。

「…え?」

「おまえが世界から愛されるのが分かる。」

「……え…か…神さん?」

沙都は座ったまま俺を見上げて、その顔はみるみる赤くなっていった。

「ぼ…僕なんか…まだ…その、ペーペーで…」

「そのペーペーに思い知らされたし…救われた。サンキュ。」

「……」

沙都は無言で立ち上がって、俺の手を両手で握り返すと。

「…少し…自信がつきました…僕こそ、ありがとうございます…」

深く頭を下げた。



…さあ、書くか。

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