小説)虎53
テーマ:小説 > 恋愛
2016/09/28 22:27:33
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それから数日後、何も知らない雪が翔とともに俺の本宅へ。予定通り、お袋が雪を連れて街外れの教会へ。俺と蘭子そして、翔も後に続く。教会では、お袋が頼んだスタイリストが待ち構えている。
久しぶりに3人で車に乗った。運転したのは俺。助手席には蘭子、後部座席に翔。
「雪ちゃん、喜んでくれるといいね!」
「ああ……」
翔はどこか浮かない顔をしていた。
「なんだよ…男の癖にマリッジブルーか?」
翔はふっと笑った。
「いや……これでいいのかってな……」
「なに、今さら言ってんだよ……」
「そうよ!」
蘭子も俺の後に続く。
「そうなんだけど……なんかな…俺と関わって雪は……もし、出会わなかったらな…なんて思うことがあるんだ」
それは今回の怪我のことを言っているのは、すぐにわかった。
「そう思うんなら、お前が幸せにしてやれよ…」
少しうつむいていた翔の顔が俺を見た。
「それがお前のやるべきことだろ?それとも俺が雪をもらおうか?」
頭に軽い衝撃。
「何バカなこと言ってるの!」
蘭子の鋭いツッコミ。
「いってーな!」
俺たちの様子を見て、翔が声を出して笑った。
「……ありがとう…」
俺たちの車は教会へと続く道をまっすぐ進んでいた。
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