【SSS】シオの道草ブログ

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漆黒の王女.87

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2016/09/27 12:41:01

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『あぁ、あたしばかりが話してごめんだったね。

もう尽きたから、今度はサザンが話を聞かせておくれ。

あんたはどこから来たんだい?どうしてこんな所で迷っていたんだい?』


おばあさんは話し終えて、自分のロッキングチェアに深く腰を沈めた。僕を優しい眼差しで見つめる。


「あの、おばあさん。服、乾いたみたい」


僕は立ち上がって、借りてたシャツを脱いで元の服に着替えながら言った。


「実は僕、お城へこの手紙を、、、ルニアの集配所に取り残されていて、後を追ってきたんです。

でも僕、まだ新米だから、お城へのルートをちゃんと把握出来てなくて、、、

それでここに迷ってきたんです」


ボウガンホルダーをまた身に着けながら、ホルダーのベルトに括り付けていた小さなカバンの中から、しわくちゃのねえさんの手紙を取り出してかざした。

こんなにも、スラスラとウソが出る。


『おやまあ、そうだったのかい。なら、行かないとだね。長い話に付き合わせてごめんだったね。

抜け道を使うといい。この家を出て左へ少し進んだ所に水車小屋がある。中に床下の扉があるから、そこから地下を通って城へ抜けられる』


「えっ、、、僕も通っていいの」


びっくりして聞き返すと、


『まだ雨降ってるようだし、また濡れたら困るだろう?

いいよ。誰も怒らないよ』


ニコニコしておばあさんは言った。


「分かりました、、、ありがとう、おばあさん」


『もし向こうで、二人の息子に会ったら、母さんが心配してたと伝えておくれ』


おばあさんの声を背中に受けて、僕のウソを信じたおばあさんに胸をチクンと痛めながら、僕は外へ飛び出した。



おばあさんの言う通り、水車小屋も床下の扉もそこにあった。

扉を開けるとカビ臭がもわっと漂って、鼻と口を手で覆いながら僕は地下へ潜り込む。



さっきのおばあさんの昔ばなし。

黒髪と黒い瞳のシーナが記憶を無くして僕の所にやって来た事。

得体の知れない大男がシーナを知ってるかもしれない事。

ねえさんが【永久に家に戻れないかもしれない】と手紙に書いた事。

一見バラバラのようだが、深く、見えない所で繋がっている気がするんだ。



シーナ、シーナは漆黒の一族の血を引いていて、何か陰謀のようなものに巻き込まれたの?



どこか遠くでぴちゃんぴちゃんと水の跳ねる音を聞きながら、僕は終わりの見えない地下道を走っていった。





《Continued to another point of view・・・》

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