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恋〜いつか出逢ったあなた〜

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2016/09/27 15:40:38

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「SHE'S-HE'Sがメディアに出る話…進んでるんですか?」

会長室のソファーに座ってすぐ、俺がそう切り出すと。

「…千里に聞いたのか?」

高原さんは首だけ振り返って言った。

「はい。」

「あいつ、なんて?」

今度は俺に背を向けて…コーヒーを入れてくれてる。

…世界の高原夏樹が…俺にコーヒー…

あ、それは今考えちゃダメだ。

緊張して何も喋れなくなる。

ここに就職させてもらって二年経つと言うのに…

高原さんは、いつまでも俺の『上司』と言うより、『憧れの人』だ。


「神は…別に構わないと。」

「そうか。他には……って、まあいい。直接聞こう。」

「あ、すいません…」

コーヒーを目の前に置かれて、俺は軽く頭を下げると。

「いただきます。」

早速…カップを手にした。


「それで…彼らは、どういった形でメディアに?」

それが一番気になる。

まず雑誌やテレビに顔を出して…それからライヴをするのか。

それとも、いきなり…

「まだ何も考えてないんだよなー。」

「……え?」

これからどうなるのか…って少しの緊張と大半の期待感での問いかけに、高原さんはあっけらかんとそう答えた。

「メンバー全員の気持ちが固まれば…そこからはあっという間に進めようと思ってる。」

「……」

「ははっ。いい加減か?」

「い…いえ…意外だったので…」

SHE'S-HE'Sは…アメリカとイギリスと日本にあるビートランドの中でも、トップの売り上げだ。

顔も出さない、素性も明かしてないバンドなのに、だ。

デビューして20年以上、トップで居続けている。

そんなバンドの顔出しを…綿密に練らないわけがないと思ってたのに…


「確かに、あいつらがメディアに出るとなると…大騒ぎだろうな。」

高原さんは足を組んで…どこかのんきそうに。

「お祭りだな。ついでに、本当の祭りでも企むか。」

笑顔になった。

「……はい?」

「いやー、去年周年ライヴやらなかっただろ?」

「そ…それは、高原さんが病気療養中で…」

「うん。おもしろくなかった。」

「……」

「弱ってる者がいる時こそ、俺は騒いでほしいのに。」

…高原さん、こんなキャラだったっけな…

少し眉間にしわを寄せて考えてると。

「俺もあと何年生きられるか分からない。自分が生きてる間に、したい事をして、存分に楽しんでやる。」

あと何年生きられるか分からない…

その言葉に胸が痛んだ。

あの大イベントの時、高原さんはすでにガンに侵されていたなんて…

それを克服して今があるとしても、何度もの手術に耐えた高原さんの喉は、シャウトが出来なくなった。

もう…Deep Redの曲は歌えない。

…それでも、こうしてビートランドの会長としてここにいてくれるんだ。

それ以上の何を望む?

俺なんて、昔ここに所属していたってだけなのに…

いきなりオタク部屋のトップを任されて…

高原さんには、まだまだ恩返しがしたい。

もっともっと、生きていて欲しい。


「…そうですね。俺に出来る事があれば言って下さい。喜んで、祭りの手伝いをしますよ。」

俺がそう言うと。

「言ったな?二言はないな?」

高原さんは前のめりになって、人差し指を立てて確認した。

「は…はい…」

「よし。」

「……」

高原さん…こう言っては何だけど…

神と知花ちゃんがもめてるの、知ってるはずなのに?

すごく楽しそうだ。

「まず…手始めに…」

高原さんは自分の机に回って引き出しを開けると。

アーティストのスケジュールをバーンと机の上に開いて眺めて。

「里中。」

「…はい。」

「おまえ、しばらくオタク部屋から出て、こっちの方鍛えといてくれ。」

そう言って、手元でボリュームを動かす仕草をした。

「…え?ライヴ…ですか?」

「ああ。早速組もう。本人たちにも伝えなきゃな。」

「……」

いよいよ…SHE'S-HE'Sが…って思ってると。

高原さんは受話器を持って電話をかけて…

「あ、圭司か。おまえら、ライヴ決定な。」

まさかの…F'sのライヴが決まった。

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