くるみのノート。

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テーマ:小説 > 恋愛

2016/09/23 20:56:25

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薄暗い終点のバスターミナル。1泊旅行の荷物を抱えて、あたりを見回す。
同じバスに乗っていた人たちは、すでに自分の目的地に向かっていた。バスも車庫に戻って行った。
わたし1人だけが残された。
(着いたよー)
LINEを送ってみる。すぐに既読になる。
(うしろ)
振り向くと、横断歩道の向こうに彼がいた。顔は見えないけど立ち方ですぐにわかる。
わたしはヒョイとガードレールを跨いで、横断歩道の反対側に立った。
この横断歩道を渡れば、もう今までのわたしには戻れない。でも決めたの、戻れなくても後悔はしない。
信号が変わる。お互いに1歩ずつ歩み寄る。
「こっち」
来た道を押し戻される。
「えっ、あの…」
なんとか雨がしのげる程度で、古びたベンチが置いてあるだけのバスターミナルの待合室。街頭の明かりも入らなくて暗い。
手を引かれて、ベンチに座る。
帰れってこと?でもバスはもうないはずなのに…。困惑した表情もきっと伝わりはしない。
「待ってた…」
そう言って、少し強引に唇を奪われた。
「ダメだよ、こんなとこで」
「もうバスないから誰も来ないよ、大丈夫」
荒っぽいキスに呼吸が詰まる。
「ずっと触れたかった…」
「わたしも…早く今日になってほしかった」
指を絡めて、深くキスをする。熱帯夜の風が心地よく感じるくらい体が熱くなる。
しばらくして唇が離れて、見つめ合う。
「すみません。会っていきなり…。行きましょうか」
「あっ、待って」
彼の腕をキュッと掴む。
「いい…よね?こうやって歩いても」
「いいですよ」
少し大きめの荷物を持って、こうやって歩いていると、ちょっと恋人気分になれた。
「ここです。あっ、玄関狭いですよ」
「気にしないよ、お邪魔します」
「適当に座ってください」
1人暮らしの男性の部屋に上がるのは初めて。物は少なくて、ちょっと散らかってる。
部屋の隅っこに自分の荷物を置いて、テーブルの近くに腰を下ろした。
「お茶しかないけど、どうぞ」
「ありがとう。これ、おみやげ。あとで食べよう」
バスに乗る前に買ったドーナッツを渡す。
「今食べる」
「夕ごはんは?」
「食べたけど、お腹空きました」
わたしは夕ごはんを食べそびれていたので、2人で食べることにした。


1週間前の、同じ時間のわたしは、こうなることが予想出来たかな?出来るわけない。あのときのわたしにこんな想像力はなかった。

先週はクラスの予定が合う人で飲みに行った。そんなに遅くならないうちにお開きになって、わたしはコンビニに寄るためにみんなと別れた。
飲み物ないなぉ。あっ、明日は寮の食事も朝だけだから少し買っておこう。
「クルミさん」
振り向くとそこには一緒に飲んでいたヒロがいた。
「どうしたの?みんなと寮に行ったんじゃないの?」
ヒロは寮暮らしではなく、学校の近くで1人暮らしをしている。原付で来たから、誰かに泊めてもらうものだとばかり思っていた。
「泊めてほしいって頼んだんですけど、みんなに断られちゃって…。酔いが覚めるまででいいんで、部屋にいさせてくれませんか?」
飲酒運転させるわけにもいかないし、ロビーに放置もなんだか可哀想だし…。
「じゃあ、なんかデザート買ってくれる?」
「それでいいんですか?」
「泊めないよ。酔いが覚めるまでね」
「ありがとうございます!」
誰にも見られることなく、部屋までたどり着いた。
「食堂で飲んだときも来てるもんね。あのときと同じ、座るとこはベッドしかないから」
狭い部屋だからトイレに行くのも気を使う。自分の部屋なのに…。
「これ、食堂飲みしたときの残りですか?」
「そう。飲んじゃおうかと思ったけどバイトあったし、1人だと進まないね」
「俺も1人だと飲めないんですよね。これ、食べます?それとも冷蔵庫?」
ヒロに買わせた梅のゼリーを食べることにした。自分の分は杏仁豆腐を買っていたようだ。
テレビを見ながら学校の話をしていたけど、飲んでいるときも話していたからネタが切れた。
少し沈黙があってからヒロが口を開いた。
「最近、彼氏さんとは会ってるんですか?バイトも忙しいみたいだし」
「月イチくらいかな?たまに2回」
入学前より離れて暮らすことになって、交通費もそれなりにかかる。今のバイト代じゃ頻繁には会いに行けない。
「たまに金曜日に学校行かないの気づいてる?」
「たまに休んでますよね。もしかして東京行ってるんですか?」
コクンと縦に首を振る。
「彼氏さん、来てくれないんですか?」
「そういえば来てないね。でもこっちで会うより、あっちのほうがお店とかもいろいろあるし」
「ホテルも?」
「そうそう。って、そういうこと言わすな!」
別に恥ずかしいわけじゃない。付き合って来月で丸6年。なにもないほうが不自然だし、ヒロにも付き合って5年目の彼女がいるから話はしやすい。
「でもね…」
言いかけてハッとした。
「でも…なんですか?」
「いや、これはやめておく」
「なんですか?気になりますよ」
「気にしないで!」
会ってもホテルなんて行ってない。
「あー、もう!ちょっと飲む!」
やっぱり男なら考えるよね。彼女と会ったら…って。
そう思ってもらえなくなったのを実感してしまった。
焼酎を少しずつ飲んで、頭がフワフワした感じになってきた。そこで思い切って口を開く。
「あのね、ヒロは…。彼女さんと会ったら、やっぱり…」
横を見るとヒロはスヤスヤと寝息をたてていた。
「泊めないって言ったのに」
久しぶりに誰かの寝顔を見た。ヒロはわたしよりも1歳だけ年下。彼女もいるし、友達だから、このまま泊めてもただ普通に朝が来るだけ。
明かりを常夜灯にして、ベッドに横になる。
誰かが同じ部屋にいる。それだけで妙な安心感を得られた。
「わたしって、けっこう寂しがり屋なんだね…」
そう呟いて目を閉じた。

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