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漆黒の王女.83

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2016/09/25 23:19:01

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外で嗅ぎつけた匂いは、このスープだった。内臓の至るところに沁み渡って、ふわっと力が抜けた。


『あんた、名前はなんていうの』


おばあさんがダイニングチェアを暖炉のそばに置いて、僕に座るよう促しながら聞いてきた。


「サザン、、、っていいます」


『サザン。いい名前じゃないか。

髪の色は?瞳の色は?』


「、、、?

銀髪に、、、若葉色の目ですけど。あの、どうして?」


見たら分かるのに。不思議そうにおばあさんを眺めると、おばあさんはふっふっと笑った。


『あぁ、変な質問でごめんだったね。

あたしは目があまり利かなくてね、、、至近距離でないとぼやけて見えるし、色の識別がほとんど出来ないんだよ。

この手狭な家でしか活動しないし、息子達以外の接触は滅多にないから、特に不便は感じないが。

あぁ、他人と話すのは10何年振りだろう』


「息子達?息子さん、この服の人以外にいるんですか」


僕がいちいち質問で返すのを、おばあさんは嫌な顔ひとつせず答えてくれる。


『ああ、あとひとりいるよ。その服が入らないぐらいでかいのがね。

もっとも二人とも、引き取り子なんだがね。あたしは産めない身体だから。

ひとりは、あんたが着てるそのシャツの持ち主は、城に働きに出ていったが、

もうひとり、ばかでかい方は、あたしのそばにいて、私の織った物を売りに出したりしてくれる』


「城」


僕がそのワードに機敏に反応したので、今度はおばあさんが不思議そうな顔をする。


「あの、お城って?この近くにあるんですか」


本当はもっと別の事を聞きたかった。

シーナという人を知っているか。

ザザという人を知っているか。

やっぱり聞いてみようか、そう思った時に、


『ああ、あるともさ』


何か懐かしむように、おばあさんは言った。





『あたしも昔、城で働いていた。お妃さまのお付きとして』

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