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ユキさんのブログ

エンディング♪世界が終わるまでは〜♪のとこをYSB登場選手に置き換えると萌えてしまう

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深内広翔 窮屈

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テーマ:小説 > 恋愛

2016/09/24 00:50:18

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「深内」
「はい」

九月某日
日本史の授業
教室に入ってくるなり監督は
プリントをくれた
振り返って一緒に覗き込む坂井
1枚目は
『明稜大学野球部
 グラウンド完成落成式のご案内』
つらつらと挨拶の言葉が活字で写されて
二枚目、メールを印刷した紙

『ヒロリンも来てくれたら嬉しい♡
 最初に土を踏むのは
 ヒロリンと後藤にしてもらいたい!
 竜崎先生絶対つれてきてくださいね〜!』

「行くなら話してやる
 俺が一緒なら許してくれるだろ?」

うちの親は過保護

最初浮かんだのは栗原さんの顔だったけど
次に浮かんだのは
怪訝な顔をするお母さんのため息



「俺も行きたいんですけど…」
木佐ぽんが背後から覗いて
「行ってもいいが一泊けん平日にかかるぞ?
 皆勤賞捨てるんか?」
「……」
「栗原と皆勤賞どっちが大事だ?」
「……」
「木佐ぽん、栗原さんには
 会おうと思えば会えるけど
 海大の皆勤賞は一生ないよ?」
「う…」
「ヒロトはいいの?皆勤賞じゃん」
「別にいい」
「さすが」
「少しくらい迷え」
「あああああどうしよう!」


栗原さんがそう言うなら

僕が最初に土を踏みたい


「木佐、よお考えとけ放課後までに」
「みじか!」
「坂井」
「はい」
「お前も見に行くか?」

坂井から言葉は出てこなかった

「いつまで喋っとんじゃ
 教科書開け58ページ、木佐読め」
「ええ?!」
「あぁ?」
「はい…」

甲子園が終わって野球が終わって
監督は別人みたいに穏やかになった
たまに練習を覗くと相変わらずの迫力だけど
こんな風に学校では僕たちと
普通に話すようになった

自販機の前で会った時に
ジュースを買ってくれたりもした


その日の放課後帰る支度をして
いつも通り野球部はここに集まって
「マック食ってこ〜ぜ」
「マック飽きた」
「俺、バッティングだけして帰る」

「なぁ、もし親がダメだって言ったら
 ヒロトどうやって行くんだよ
 新幹線か飛行機でしかも一泊だろ?」
「お年玉使ってないしなんとか…
 なんかバイトしようかな
 10月ならいくらか稼げないかな」
「往復と泊まるのと5万はいるだろ?」
「5万か…」
「ヒロト、俺2万なら貸せる」
「3日前から自転車で出発しろ」
「バカか」

帰りがけバイト情報誌を持って帰った
うちの学校は親の許可があれば
バイトが許されていた

部屋でこっそり…

バンッ!

「お兄ちゃんお母さんが
 クリーニング取ってきてって!」
「わー!」
「何隠したの?!」
「急に開けるな」
「エロいやつだ〜絶対そうだ〜」
とっさに隠したけど博美に勝てるはずなく

「なーんだ、違った」
「返せよ」
「お兄ちゃんさ、バカなの?
 勉強は出来てもバカだよね?」
「はあ?」
「お母さんがバイト許すわけないじゃん」
ごもっとも
絶対許可は出ない

「なんか欲しいの?」
「いや…」
「あぁわかった!
 あの人に会いに行くんだ〜
 遠いもんね〜お金かかるよね〜
 お母さんピリピリだもんね〜
 あの雑誌以来さ」
「なんか言ってた?」
「何にも聞かないから怖いんじゃん」

明稜の発足が週刊誌に載った
別に隠してわけでもないはずなのに
甲子園連覇の盛り上がりは
まだ鎮火してないから
スクープ記事みたいに
下條先生や栗原さんが細かく特集されて

ゴシップみたいに
僕と栗原さんを無理やり2人に切り取った写真が大きく載っていた
それがお母さんには致命傷
普段週刊誌なんて読まないくせに
中学の同級生のおばさんがわざわざ教えてくれたらしい

それでここまで話が決まってるのに
関大にしろとか
そのまま海大にあがれとまた言いだして

「ヒロくん…この人と何かあるの?」
嫌悪感を隠せてない表情が
僕には嫌悪感だった

親に頼らずに大学に行く方法を
教えて欲しかった

解放されたかった





「監督、許可なしでバイトの許可下さい」

監督は珍しく
怒鳴るより先に呆気にとられて

「熱っ…!」
湯呑みを倒した


「なん言いよるかお前は…
 バイトしてなんか?
 欲しいもんがあるのか?」
「いえ…ダメならいいです」
「ダメだろうな」
ダメ元だったけどやっぱりダメだった
「失礼します」
職員室を出ようとしたら

「深内」
監督に呼び戻されて
「お母さんダメだったんか?」
「言ってません…」
「お母さんがいいって言わんことには
 行かれんからな、わかっとるか?」
「はい」
「俺が電話する」
「監督…」
「なんだ?」
「母は…」
「心配するな
 なんべんでも話してやる」

「親に喜んでもらえんで大学に行くのも
 野球をするのも…
 そがんつまらんことはない」





「ヒロくんどう?美味しい?」
夕飯はカレーだった
「お母さんこれ本格的な味するね」
「わかる?さすが博美ちゃん女の子ね
 本見ながら頑張っちゃった」
「美味しいよね?お兄ちゃん」
「うん」

「そうだお兄ちゃん
 お母さんに言ったの?バイト」

「は…博美お前…!」
「バイト?」
「お兄ちゃんバイトしたいんだってよ
 大学決まってるんだしいいじゃん」
「ヒロくん…バイトしたいの?
 何か欲しいものあるの?
 買ってあげるわよ」
「いや、バイトはいいんだ…」
お金の問題じゃない
「じゃあ何で…」

「お母さん、10月に明稜のグラウンドの
 落成式があるんだけど行っていい?」

表情は一気に曇ってスプーンを置いた

「いいじゃん木佐ぽんも行くの?」
「木佐ぽんは皆勤賞が捨てられないから」
「はあ?何それ
 あの人も来るの?マネージャーさん」
「うん、あと青藍のキャプテン」
「うそ!エースはこないの?!」
「来ない…いやどうだろ見に来るのかな」
「お母さんいいじゃん
 ちゃんと大学見たりしてないんだし」
「お母さん…いいですか?」

「ヒロくん…大学考え直して?」

「え?何言ってんのお母さん
 もうここまで決まってるのに」
「お母さん反対よ…何でそんな遠くに
 野球がしたいなら
 関大でも海大でもいいじゃない」
「よくない」
「明稜なんてわかんないとこより
 関大なら強いじゃない!」
「どこでもいいわけじゃない」

「あの子が…明稜に行くからなの?」

「そうだよ」

またその顔か

「そんなの…
 彼女のためになんてお母さん反対よ!
 ここから関大に通ってちょうだい
 ね、ヒロくんお願い…いい子だから」
「そういうんじゃない
 栗原さんのために行くんじゃない
 僕が行きたいんだ」
「お願いよ…お母さん泣かせないで…」

「もう…いい」


「お兄ちゃん!」


博美に悪いなって
それだけ思った

静かで暗い住宅街の道を歩きながら
リダイヤルに栗原さんを探して

通話は押せなかった


RRRR RRRR

『はーい』
「あ、坂井今いい?」
『うん、どした?』
「今日泊めてくれない?」
『おう』


見上げた夜空に星はなく

『ヒロトのヒロは
 ヒーローのヒロだね』

あの笑顔が浮かんだ

繋いだ手は冷たかったのに
手の平に覚えたあの手は

温かかった

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コメント15

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  1. ベッツィさん(36歳)ID:5244496・09/24

    ひろり〜ん💦💦

  2. ユキさん(32歳)ID:5243759・09/24

    リンさん
    それ切ない男ランキング!笑
    山下さん、涼太、よっち、カズくん
    これは切ない代表やん笑

    わたし的には
    先生、監督、カズくん、ブラザーズ(決められないからまとめて笑)
    栗原パパママ、ヒロリン…
    いや決められん笑

  3. ユキさん(32歳)ID:5243711・09/24

    マリナさん
    パパもいないし
    ヒロリンを離したくないんだよね(>ω<、)
    わからんでもないけど
    ヒロリンには窮屈だよね…

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