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恋〜いつか出逢ったあなた〜

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2016/09/22 22:31:32

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「おーっす。」

ドアを開けると、聖がいた。

「…久しぶりだな。」

「何度か来たんだけど、その時は親父いなくて。」

「連絡してくれたら良かったのに。」

「わざわざ合わせてもらうのも悪いし。」

コーヒーを淹れてテーブルに置くと。

「咲華、毎日来てるんだって?」

立ったままそれを手にして、聖はソファーに座った。

「ああ。」

俺も同じように、聖の向かい側に座る。

「どーだよ。一人暮らし。」

聖はキョロキョロと部屋を見渡して。

「あっ、本当に洗濯物干してる。」

笑った。

「今時の男はこれぐらいできねーとな。」

「親父が言うかな。」


悲しいかな…

すっかり自分の事ぐらいは自分で出来るようになった俺は。

ここ三日は、暇を持て余して…

ついに。

料理にまで手を出してしまった。

だがそれは誰にも内緒にしている。

なぜなら…

記念すべき最初の目玉焼きを、大失敗したからだ。

…目に浮かぶ。

『言ってくれたら教えたのに』って斜に構えて偉そうに言う華音と…

『せめて誰かと一緒に作らないと』って目を細める咲華と…

『目玉焼きも焼けないの!?』って言う華月と…

『食い物無駄にすんなよ』って言う聖…

…いきなり焼く事からしたのがいけなかった。

そう思った俺は…

ゆで卵を作ろうとして…

…電子レンジで爆発させた。

それ以来、料理には手を出さない事にしている。


「事務所の人達にはバレてねーの?」

聖は持っていた紙袋からゴソゴソとタッパーをいくつか出して、テーブルに置いた。

「…ああ。意外とな。」

それを一つ手にしてみると…

「姉ちゃんの味に飢えてねーかなと思って。」

「……」

飢えてるに決まってる。

だが、ここまで耐えてきたのに…

なんて事しやがる。

今こんな事されたら、ずっと我慢してた寂しさが溢れちまうじゃねーか…!!


「…これは知花が持たせたのか?」

「いーや、夕べの余りもん。」

「…咲華がいるのに余るのか?」

「咲華が聞いたら怒るぞ?」

「……」

開けかけた蓋を閉じて、テーブルに戻す。

小さく溜息をつくと、自分がどっと老けた気がした。


「…親父、へーき?」

聖が遠慮がちに聞く。

「平気に見えんのかよ。」

「んーん、見えねー。」

「んじゃ聞くな。」

「ちょっと言葉で欲しかったから。」

「……」

聖は義弟だが、華月と同じ年の同じ日に産まれた。

息子と言ってもいい歳の差。

なのに…聖とは、まるで兄弟と言うか…(まあ義弟だからそうだが)

俺がガキなのか、聖が大人なのか分からないが。

どこか通ずるものがあって。

…俺もつい、聖には本音を漏らしたりする。


「…知花が何も言って来ねーから、俺もどう動いていいのか分からない。」

「だよなー。」

「…だが、昔みたいな事にはなりたくないから…俺は俺の仕事をきちんとこなすだけだって思ってる。」

「さすが親父。」

「…おまえは知花から何か聞いてるのか?」

「……」

俺の問いかけに、聖は少し眉間にしわを寄せて視線だけを天井に向けた。

「んー…姉ちゃんから直接聞いたわけじゃねーんだけどさ。」

「……」

「大事な人が幸せならそれでいいって思うのは悪い事じゃないけど、大事な人はきっと自分にも幸せでいて欲しいって思ってるはず。」

「…知花が?」

「いや、母さんがそう言ったら、姉ちゃんボロ泣きしたらしい。」

「……」

「父さんがそう言ってた。」

大事な人が幸せならそれでいい…

知花は、そういうタイプだ。

「最近の姉ちゃん、すっげーズケズケ物言ってるぜ。」

「…は?」

聖はコーヒーを飲み干して立ち上がると、ベランダに出て外を眺めた。

ここからは…事務所が見える。

「姉ちゃんさー…色々我慢してたんだと思う。」

「……」

「親父、今の姉ちゃん受け入れられるかな…」

「…そんなに違うのか?」

「まあ…俺はスカッとしてるけど、ノン君は少しメンタルやられそうだっつってた。」

「……」

俺の中の知花は…

常に笑顔で…時々拗ねて唇を尖らせるのが可愛くて…

俺の絶対…に、仕方ないわねえ…って顔で付き合うと言うか…

全て許して、受け入れてくれて…

…あれは、本心じゃなかったって言うのか…?

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