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恋〜いつか出逢ったあなた〜

登場人物全員が主役。スピンオフだらけの妄想恋愛小説。(大半がなんちゃってバンド系)

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テーマ:小説 > 恋愛

2016/09/22 13:00:38

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「何だか…聞いててワクワクしちゃう。自伝にはなかった『Deep Redが出来るまで』って感じ。」

あたしが素直にそう言うと。

「あははははは。タイトルのセンスないな、知花。」

父さんは大げさに笑った。

「その時ナオトが弾いてたのは…クラッシックだった。それからジャズを弾き始めて『おっ』って思ったね。こいつのピアノで歌いたいって。」

「へえ…それで、ナオトさんに声かけたの?」

すごく興味深くて、仰向けでいられなくなった。

何だか…ソワソワしちゃう。

あたしはうつ伏せになって顔だけ父さんに向けると、その体勢のままで足を少しだけ上げたりした。

「知花がストレッチ始めた。」

母さんが笑う。

「何だか…じっとしてられなくて。」

「じゃ、あたしもしながら聞こっと。なっちゃん、続けて?」

あたしと母さんがストレッチと言うかヨガと言うか…

マットの上で動き始めたのを見て。

両手を枕にして仰向けになってた父さんは。

「…俺はこのまま喋るぞ?」

苦笑いした。

「弾き終えたナオトに『おまえのピアノで歌いたい』って正直に声をかけたら、あいつ…驚いてたな。」

「そりゃあ驚くよね。突然外人がそんな事話しかけて来たら。」

「星高って…父さんの頃はどんな制服だったの?」

確か今は、紺のブレザーにグレーのスラックス…

「俺の代が最後の、黒の学生服だった。」

「……」

「……」

つい、母さんと顔を見合わせてしまった。

父さんの学生服姿…

「それ…写真見たいな…」

あたしがつぶやくと。

「言われると思ったよー…」

父さんは右手で目を隠して。

「ナオトにも散々笑いながら言われた。『似合わない学ラン来た外人に、日本語で偉そうに声かけられてビビった』ってな。俺のあの姿はお蔵入りだ。」

泣き真似をして言った。


「だが、俺が熱烈な告白をしたにも関わらず、ナオトはもうピアノは弾いてないって言った。」

父さんが起き上がって、あぐらをかいた。

それにつられてあたしも…座って足の裏を合わせて…ストレッチをする。

隣では母さんも同じ事を始めた。

「今はバンド組んでキーボードを弾いてるって言われてさ…しかもロックって聞いた時は内心ガッカリした。」

「…父さんがロックでガッカリなんて…信じられないわ。」

あたしは静かに驚いた。

あれだけのハイトーンで世界を魅了した、Deep Redの高原夏希が…

「ははっ。今となってはな。だがあの時は…まだ母の死を受けて入れてなかったんだろう。どこか…母と同じ事がしたいと思う自分がいた。」

「……」

そっか…

それは…何となくだけど、あたしも似てるような気がした。

あたしは、母さんのお腹の中にいた時の記憶がある。

今ではビートランドで知らない人はいない名曲となった『If it's love』を…

母さんは、いつもあたしに歌いかけてくれてた。

小さな頃からずっと…あたしの中にあった愛の歌。

本当のお母さんに会いたい。

そう思った頃から、あの歌を歌えば…どこかであたしを見付けてくれるんじゃないかって。

そんな気持ちもあったけど…

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